研究課題
特定領域研究
昨年度に、太陽表面元素組成の最新の分光学的観測値を用いて、重元素分布を空間的に一様であると仮定した場合には、日震学で得られた太陽内部の音速分布を拘束条件として、太陽モデルを作成した。重元素分布を一様とする仮定を置く代わりに、音速分布のほかに日震学で得られた密度分布をも拘束条件として使うことにより、重元素分布を決めることが出来ることになる。今年度はこの方針の下に重元素分布を決め、その結果重元素分布が太陽の外側に向かって増えているか逆に減少しているかによって、惑星親星表面の重元素過多が惑星系の原因なのか結果なのかという問いに、太陽の場合の答えを出さんとした。結果は、重元素分布を唯一的に決定するには実際上は困難であったが、確率的に高い分布としては、内側に向かって増える分布となっており、惑星系誕生の原因説を支持するものとなった。このほか、関井は韓国・慶北大学の張憲永とともに、太陽音波モードの振幅の相関を調べた。これは「音波モードの振幅に反相関がある」というRoth(2001)らの報告が正しければ、音波モードの固有振動数を求める方法に変更が必要になるからで、太陽内部の化学組成の固有振動数に対する影響というような、微小な量を考える際にはきちんと考慮しておく必要があった。今回の研究では、僅かな反相関と相関係数の非対称分布は見出したが、単純なランダム励起された減衰項つき振動子のモデルでほぼ予言できる範囲であった。引き続き詳しく調べる必要があるが、現時点で固有振動数を求める手続きを変更する必要は認められない。関井はまた、国際プロジェクトPhoebusに参加して、重力波モード・低周波の音波モードの検出方法の改善を行ない、1mHz以下の低周波音波モードの同定・周波数の決定を行なった。これらのモードが太陽中心核の構造決定にもたらす影響が現在調べられている。重力波モードに関しては、0.1mHz付近での振幅の上限が5mm/s程度であるという見積もりを得るにとどまっている。
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