研究概要 |
希土類錯体を使って、通常の太陽電池では利用されていない太陽光の短波長の光を希土類イオンに吸収させた後、長波長で発光させ(波長変換効果)、電池への入射光をその分光感度に適合させることによって全体として従来の太陽電池の変換効率を上げる方法がこの研究の基礎概念である。 この研究では、短波長領域の光が地上(300nm程度まで)よりも更に短い領域(200nm程度まで)にある宇宙での太陽光にこの太陽電池を利用して更に高い効率を得ることを目的としている。これまでの研究からCeを始めとして数種の希土類が深紫外光を吸収し、400nm以上の可視光に変換可能であることが分かっている。 今年度は、トリフルオロ酢酸(TFA ; Trifluoroacetic acid)を使ったゾルゲル法によって、フッ化物CeF_3, CaF_2:Eu, SrF_2:Euナノ微粒子を生成し、その粉末,薄膜を評価した。CaF_2, SrF_2共にXRD測定結果より求めた結晶子サイズは、焼結温度の増加(300〜700℃)とともに35〜130nm以上まで線形的に増加することが分かり、このことはAFM表面観察でも確認された。 SrF_2:EuにおけるPL, PLEの測定結果は、Eu^<3+>イオンの4f-f遷移に起因するシャープだが微弱な励起・蛍光のみが確認されたので加熱による酸化を防ぐため、TCRA(Thermal Carbon Reducing Atmosphere)法を施し,700℃以上で高い還元性を示すCOガスによって、Eu^<2+>イオンの4f^7-4f^65d^1遷移による強い蛍光(ピーク416nm)を得た。この新しいmodified TCRA法は、従来の高純度炭素のドープによる汚染を防ぎ、高い効率で安価な活性炭を補給するだけで還元処理が可能になるきわめて有効な方法である。現在、これらの膜を使って太陽光発電システムへの応用評価を行っている。
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