研究課題/領域番号 |
17043005
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中西 彊 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40022735)
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研究分担者 |
奥見 正治 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 技術専門員 (70397454)
山本 将博 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00377962)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2005年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | スピン偏極電子ビーム / 電子・陽電子リニアコライダー / ビームシミュレーション / 低エミッタンスビーム / レーザー / Mott散乱ポラリメター / NEA表面電荷制限現象 / GaAs-GaAsP歪み超格子薄膜 |
研究概要 |
リニアコライダー用偏極電子源の実用化に向けて200keV電子銃システム開発を推進し、つぎに列挙する実験結果が得られた結果、リニアコライダーの要求する高密度・低エミッタンス偏極電子ビームの生成が充分射程圏内に近づいたことを実証することができた。 (1)ILCパラメーターによるビームエミッタンスのシミュレーション リニアコライダー(ILC)が要求するビーム性能(バンチ幅<2ns,バンチ電荷量>3.2nC(4x10^<10>e^-))が、我々が開発した200keV電子銃により実現できることを確認するためにビームシミュレーションを行った。その結果、バンチャーシステムに優利な短パルス(〜0.7ns)ビーム生成条件においても、規格化エミッタンスも15π.mm.mrad以下に抑えられ、電子銃より0.5m下流において電荷量5nC/バンチまでビームロスが無視できる状態で移送可能であることが示された。現在は実際の偏極電子ビームでこのエミッタンスが実現できることを確認する作業を進めている。 (2)GaAs/GaAsP超格子フォトカソードからの高密度シングルバンチ生成 リニアコライダー実験が要求する偏極電子ビーム生成試験として、GaAs/GaAsP歪み超格子フォトカソードよりシングルバンチ生成試験を行った。パルス幅約20nsのレーザー光をQスイッチYAGレーザ-励起によるTi ; Sapphireレーザーにより生成し、高速ポッケルスセルにより約1ns幅パルスを切出し、光ファイバーを用いて電子銃へ移送した。この結果、レーザーエネルギー3.6μJで超格子フォトカソードからバンチ当り電荷量2.6nC(1.6x10^<10>e^-)の電子ビームが生成できたが、空間電荷制限およびNEA表面電荷制限現象は観測されなかった。このデータは、現在実施中のレーザーシステムの改良およびフォトカソードの高量子効率化により、リニアコライダー電子源が要求する6.4nC/bunchのマルチバンチ生成は充分に可能であることを示唆している。 (3)200keV電子銃用スピン偏極度測定装置の開発 200keV電子銃で生成したビーム軸方向のスピンの向きをWien-Filterにより散乱平面に対して垂直に立てる方式を採用し、電子銃より引出したビームの直線軌道を変えることなくMott散乱を用いた偏極度測定を可能にした。膜厚を変えた複数の金箔ターゲットを用いて偏極度の自己校正を行った後に、GaAs/GaAsP超格子結晶より引出された電子ビームの偏極度を測定した結果、予想通りに系統誤差5%の範囲内で85%の高いスピン偏極度を得ることができた。
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