研究概要 |
窪田は,SNOの荷電カレント実験における輻射補正を調べた。中心となる問題は,以前Kurylovetalによってなされた計算で,G_A/G_V比に対する補正がどう扱われているかを数値的に調べることであった。その結果,Gamow-Teller遷移における定数補正項は,KurylovetalではFermi遷移における定数補正項にすりかえられていることが数値的に判明した。この操作は結果的には正しいという論理を構築できた。次に中性カレント実験における輻射補正については,Gamow-Teller遷移での定数補正項は荷電カレントの場合と異なり,Kurylovet al.の計算は誤りであることが分かった。われわれは,全ての計算をやり直して正しい計算方法を提示し,数値的な結果を論文としてまとめた。 極低温中性子を用いた時間反転奇の非対称性を調べるために,終状態相互作用を調べた。その結果,Callan-Treimanが以前に行っていた計算がすべて再現されることが分かった。極低温中性子を用いた実験で標準模型を超えた物理を探るために,two-Higgs doublet模型を用いることを予定している。この場合,計算機のプログラムとしてGRACEを用いる必要がある。そこでGRACEを開発したグループと協力して,まずはW-bosonおよびtop quarkの質量の輻射補正を計算し,現在の実験データの範囲内でヒッグスの質量にどのような情報が得られるかの数値的研究を立ち上げた。
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