研究課題/領域番号 |
17045011
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
増山 典久 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (60313227)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
2006年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 発生時期 / 細胞増殖 / ニューロン分化 / シグナル伝達 |
研究概要 |
FGF2やEGFなどの増殖因子は、神経幹細胞の未分化性を維持したまま増殖を促進する効果が高いことが知られている。FGF2刺激に応じてどのようなシグナル伝達機構が神経幹細胞の未分化性の維持に重要かを調べたところ、JAK-STAT経路が重要であることを見いだした。これまでに大脳皮質神経幹細胞に対して、発生後期や周産期前後の時期にはSTAT3がアストロサイトへの分化促進に働くことが知られていたが、発生早期におけるSTAT3の役割は明らかにされていなかった。そこで発生初期の神経幹細胞におけるSTAT3の機能の解析を行った。STAT3のゲノム座位にloxP配列を組み込んだノックインマウスを用いて、Cre組み換え酵素を発現させることでSTAT3の条件的ノックアウトを行ったところ、神経幹細胞の未分化性維持が阻害され、神経マーカー陽性細胞の割合が増加した。このことから、発生初期においてはSTAT3が神経幹細胞の未分化性の維持に必要であることが明らかとなつた。またSTAT3による未分化性維持の機構はnon cell-autonomousであり、近隣の細胞に対して影響を与えることでSTAT3が未分化性維持効果を発揮していることが示された。さらにSTAT3のターゲツトの候補としてNotchのリガンドであるDll1を見いだしており、Dll1-Notchを介して、STAT3が近隣の細胞に対して未分化性の維持を促進する機構が存在することを明らかにした。以上の結果から、神経幹細胞が由来する時期の違いによつて、STAT3による異なる細胞機能の調節の機構が明らかになった。
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