研究課題/領域番号 |
17045013
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
仁科 博史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60212122)
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研究分担者 |
中村 貴 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教務職員 (80431948)
和田 悌司 東京医科歯科大学, 灘治疾患研究所, 助手 (80401389)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | ストレス / MAPキナーゼ / SEK1 / MKK7 / 肝芽細胞 / ノックアウトマウス / メダカ / 内胚葉系器官 / 発生・分化 / 再生医学 / シグナル伝達 / 遺伝学 / 細胞・組織 |
研究概要 |
ストレス応答性のMAPキナーゼシグナル伝達系であるSAPK/JNK系を正に制御する2種類の活性化因子SEK1/MKK4やMKK7を欠損するキメラマウスやノックアウトマウスを作出し、本シグナル系が免疫応答や発生の制御に必須の役割を果たしていることを見出した。これらノックアウトマウスは肝形成不全を伴う致死となることから、肝形成にはSEK1とMKK7の両者が必須の役割を果たすことが示された。この解析過程で作製された抗Liv2と命名されたモノクローナル抗体は発生期の肝幹細胞である肝芽細胞を特異的に認識し、肝発生や再生の研究に有用なツールとなることが示された。抗Liv2抗体を用いたノックアウトマウスの定量的な解析から、1)SEK1とMKK7による強いSAPK/JNK活性化が内胚葉系の肝芽細胞の自己複製シグナルとして必須の役割を果たしていること、2)SAPK/JNKは転写因子c-Junを介して細胞周期G2/M期促進因子CDC2の遺伝子発現を調節していること、また、3)TNFαがその受容体を刺激すると、細胞死誘導シグナルであるカスパーゼ系の活性化に加えて、生存シグナルであるNFκB系と増殖シグナルであるSAPK/JNK系が活性化されるということを明らかにした。すなわち、"肝芽細胞が自己複製するか細胞死に至るかの運命決定はこれら3種のシグナル経路のバランスによって制御される"という概念が提示できた。 また、肝臓を含む内胚葉系器官形成に関わる分子を網羅的に同定する目的で、遺伝学的な利点を有するメダカを用いた変異体の単離を行った。その結果、内胚葉形成や肝芽形成に影響のある遺伝子変異メダカを複数単離することに成功した。これら遺伝学や逆遺伝学が応用可能な2種類のモデル生物を用いて得られた研究成果は、内胚葉系幹細胞の発生と自己複製を制御する分子機構の解明に多大な貢献をすると期待される。
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