研究課題
特定領域研究
(計画)申請者らは、これまでにES細胞から内胚葉への分化誘導法を開発してきた。ES細胞から分化した膵幹細胞を蛍光蛋白の発現で可視化し、分化誘導する時の細胞の挙動を容易に追跡できるようにした。本プロジェクトでは、ES細胞から膵への細胞系譜の決定、膵幹細胞の性質を理解することを目指し、研究を進めた。その結果、以下の点を明らかにした。1、マウスES細胞から膵幹細胞の誘導に関わるシグナルの同定前年度では、ES細胞から膵臓に至るまでの分化誘導の過程を、ES細胞から中内胚葉、中内胚葉から内胚葉、内胚葉から膵前駆細胞へと3段階に分けて、それぞれの段階において分化誘導に関わる成長増殖分子及びその作用機序を明らかにした(Shirakiら論文投稿中)。すなわち、アクチビンと塩基性FGFがそれぞれの分化段階において正の制御因子として作用していること、さらにこの2つのシグナルは相乗的に作用する効果があることを明らかにした。2、ES細胞由来の膵幹細胞の解析時期特異的に成長増殖因子などを添加することで、ES細胞を消化管前駆細胞、膵臓前駆細胞のような特定の細胞系譜へ選択的に分化させることも可能になり、ES細胞由来の分化細胞をセルソーターを用いて純化し、その遺伝子発現プロファイルについて解析を行った。3、ES細胞由来の膵幹細胞の生体内分化能の解析-動物への移植による分化能の解析上記のES細胞由来の膵幹細胞の分化能について、生体内に移植し、生体内での生存、増殖、分化が可能かどうか、などの生体内における膵幹細胞の挙動、性質の変化について検討する。SCIDマウスの腎臓皮膜下に移植した場合、上記のPdx1陽性膵臓幹細胞からインスリン発現細胞への分化が観察された。したがって、ES細胞由来の膵臓幹細胞はインスリン発現細胞への分化能を有することが分った。
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