研究課題/領域番号 |
17045037
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
大沢 匡毅 独立行政法人理化学研究所, 幹細胞研究グループ, 研究員 (10344029)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 幹細胞 / 分化 / Notchシグナリング / ノツクアウトマウス / 色素細胞 / アポトーシス / Bcl2 / Notch signaling |
研究概要 |
色素前駆細胞および上皮系前駆細胞においてNotchの活性化とその下流分子のHes1遺伝子が発現している事を見出した。これら上皮系におけるNotchシグナル系の役割を知る目的で、色素細胞特異的RBP-Jのコンディショナルノックアウトマウス(cKO)とHes1ノックアウトマウス(KO)を解析した。RBP-J cKOは生直後より毛色が薄い表現型を示し、さらに次の毛周期に生えてきた毛は完全に白髪化していた。このマウス胎児皮膚では色素前駆細胞が減少しており、生後の毛包において色素幹細胞が消失することがわかった。免疫染色から、このマウスでは色素前駆細胞がアポトーシスを起こしていることが分かった。また、これらの色素前駆細胞ではp38 MAP kinaseのリン酸化が亢進しており、RBP-J cKOとp38KOを交配させ得たダブルKOでは色素前駆細胞のアポトーシスが回避された。このことから、色素前駆細胞ではNotchシグナル系とp38 MAP kinaseとのCross talkによって色素前駆細胞のアポトーシス制御がなされていることが示された。一方、Hes1KOでは、上皮前駆細胞が早期分化によって消失することが認められた。マイクロアレー法によりHes1の下流分子を検索したところbHLH転写因子であるAscl2がHes1KOの上皮中で過剰に発現していることが認められた。プロモーターアッセイおよびクロマチン沈降法からHes1がAscl2のプロモーター部位に直接結合することが証明された。また、Ascl2を上皮前駆細胞に強制発現されたトランスジェニックでは、Hes1KOと同様な表現型を呈した。以上のことから、上皮前駆細胞では、NotchシグナルはHes1を介してAscl2の発現を抑制することにより、その未分化性を保持していることが示された。以上のようにNotchシグナル系は2つの異なる上皮系の系譜の細胞に対し、異なった分子的機構を用いて、それらの未分化細胞を維持していることが明らかにされた。
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