研究課題
特定領域研究
我々は、これまでの糖タンパク質上のシアル酸の存在状態に対する認識(モノ【tautomer】ポリ)を塗り替え、新たな概念(モノ【tautomer】オリゴ【tautomer】ポリ)を創出した。すなわちオリゴシアル酸の存在を仮定し、シアル酸重合体の微量検出方法を新たに開発し、その方法を用いてその存在証明を行った。本研究は糖タンパク質上のシアル酸重合体というユニークな糖鎖修飾が、どのような生物学的意義を持つのかを明らかにすることが目的である。本研究ではこれまで明らかになっていないシアル酸重合体の生物学的な意義の解明をT細胞、体液、ミクログリア細胞、生殖細胞を用いて試みた。T細胞では、糖タンパク質と糖脂質の共通糖鎖エピトープ構造である、ジシアル酸構造がラフトに存在し、T細胞の活性化に関わっていること、その際にST8Sia I, IV, VIの変動が起こっていることを明らかにした。また、体液においては、マウス血清中のplasminogen, vitronectin, IgLがジシアル酸構造修飾を受けていることを明らかにし、特にvitronectinのジシアル酸構造は肝切除後に減少するということが示した。また、脳においてはマウスミクログリア細胞にポリシアル酸構造が存在することを証明した。特にLPSで炎症性の刺激を行うと、ポリシアル酸構造は消失するが、IL4などの神経保護的な作用をもつサイトカインで刺激を行うと、ポリシアル酸構造が増加する傾向があることを明らかにした。特にLPS刺激によるポリシアル酸の消失はポリシアル酸合成に関わるST8SiaのmRNAの発現の減少だけでなく、シアリダーゼのmRNAの増加も同時におこっており、実際にシアリダーゼの活性の上昇が見られた。生殖細胞はウニ精子を用いた。このポリシアル酸構造は通常見られるα2,8結合ポリシアル酸構造ではなく、α2,9ポリシアル酸構造であった。この構造を持つflagellasialinを新規にクローニングし、同定を行った。製麻区表面上のα2,9ポリシアル酸構造はCaチャンネルを介した精子の鞭毛の運動性に関わっていることを明らかにした。
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