研究課題/領域番号 |
17047040
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
善本 知広 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (60241171)
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研究分担者 |
林 伸樹 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90368514)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
2006年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
2005年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | IL-18 / 気管支喘息 / 感染 / IL-13 / 自然免疫 / 気道過敏性 / 粘膜免疫 / 生体防御 / Th1細胞 / 線虫 / マスト細胞 |
研究概要 |
IL-18のマウスへの吸入暴露による自然型気管支喘息の誘導 IL-18はIL-2の存在下で抗原刺激なしにT細胞に作用してTh2サイトカイン産生を誘導する。既にIL-13が気道上皮細胞を刺激してエオタキシン産生を誘導することで肺組織への好酸球の遊走を促すことが知られている。また、IL-13は気管支平滑筋を直接刺激して気道過敏性を亢進(airway hyperresponsiveness, AHR)させることも既知のことである。我々はIL-18のIL-13産生誘導作用に着目し、野生型BALB/cマウスにIL-2+IL-18を4日間連日で経鼻投与した後、最終投与24時間後に肺を組織学的に検索すると共に肺気泡洗浄液中の湿潤細胞(好酸球、好中球、リンパ球)、さらにアセチルコリンの吸入曝露に対するAHRの上昇を測定した。 IL-18投与群では、気道上皮でムチン産生亢進が認められ、さらに気管支周囲の好酸球浸潤とAHRの上昇など気管支喘息様症状が誘導されていた。一方、前もってCD4^+T細胞を除去したマウスにIL-2+IL-18を経鼻投与しても、全くこの様な病的変化は起こらなかった。おそらくIL-2+IL-18がCD4^+細胞を活性化して、Th2サイトカインを誘導したと考えられ。実際Stat6KOマウスにIL-2+IL-18を経鼻投与しても、気管支喘息様所見は認められなかった。一方、IL-4KOマウスにIL-2+IL-18を投与すると野生型マウス同様、著名なムチン産生が認められた。さらに、IL-2+IL-18を投与する際、IL-13活性を阻止する目的で可溶型IL-13Ra2を同時投与すると、気管支喘息の発症は完全に抑制された。異常の実験から、気管支喘息の誘導にIL-2+IL-18で刺激されたCD4^+T細胞由来のIL-13が密接に関与することか明らかとなった。次に、野生型とStat6KOマウスにIL-2+IL-18を投与後、肺組織内のIL-5とIL-13mRNAの発現、ならびにエオタキシンmRNA発現量をRT-PCRで測定したIL-2+IL-18投与は、野生型並びにStat6KOマウスの両群で同レベルのIL-5と1L-13mRNAの発現を誘導したが、エオタキシンmRNA誘導が認められたのは野生型のみであった。以上の結果から、IL-2+IL-18は肺組織内でCD4^+T細胞を活性化してIL-13産生を誘導することで、AHR、好酸球浸潤、そしてムチン産生を誘導することが明らかとなった。 感染によって気管支喘息が発症・する。特にこの様な喘息では、特定のアレルゲンが同定されないことが多く、我々は"自然型喘息"と考えている。IL-18は気道上皮細胞に豊富に蓄えられ、病原微生物の成分で刺激を受けると産生されることから、感染によって発症・増悪する喘息にIL-18が関与する可能性が考えられた。
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