研究課題/領域番号 |
17047042
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
辻 典子 独立行政法人産業技術総合研究所, 年齢軸生命工学研究センター, 研究チーム長 (30343990)
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研究分担者 |
倉地 幸徳 独立行政法人産業技術総合研究所, 年齢軸生命工学研究センター, センター長 (70344223)
田中 和生 東海大学, 医学部・基礎医学系・生体防御学領域, 助教授 (50236569)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
2006年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
2005年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | 免疫制御性T細胞 / 免疫制御性樹状細胞 / パイエル板 / 自然免疫シグナル / インターロイキン18 / 無菌マウス / 経口免疫寛容 |
研究概要 |
経口免疫寛容は消化管免疫が全身性免疫に大きく影響することを示す事象であり、そのメカニズムの解明は、消化管環境の整備により免疫病を予防・治療する技術の開発に寄与する。経口免疫寛容が成立せず、抗原特異的制御性T細胞の誘導に欠陥の見られるIL-18(-/-)マウスあるいは無菌マウスでは、パイエル板に選択的かつ多数存在するプラズマサイトイド様樹状細胞群(CD19+B220hiCD11clo : PPpDc)の存在比率が低下していることに着目し、パイエル板conventional樹状細胞群(CD11b+CD11c+ : PPcDC)と、抗原提示細胞としての機能の比較を行った。 Naive CD4+ T細胞(DO11.10由来)とのin vitro共培養の結果、PPpDCおよびPPcDCはともに抗原提示細胞としてT細胞増殖と増殖抑制機能の獲得(suppressive activity)を促すことが示された。PPpDCで抗原刺激を受けたT細胞の増殖活性が低いのに対し、PPcDCと共培養したT細胞は活発に増殖した。In vitro増殖抑制試験においてはいずれのT細胞群も抑制活性を示したが、PPpDC-induced T cellに、より強い抑制活性が観察された。 PPpDC-induced T cellsではPPcDC-induced T cellsと比較し、制御性T細胞のマーカーであるFoxp3およびLAP(膜結合型TGF-β)が強く誘導された。また抗原刺激を受けた際のIL-10/IFN-γ比が大きく、PPpDCはIL-10を産生するTr1およびTGF-β産生型のTh3の特徴を併せ持つ、サイトカイン産生型の制御性T細胞を効率よく誘導することが明らかとなった。 これらの結果は、PPpDCの割合が減少しているIL-18(-/-)マウスにおいてFoxp3およびIL-10の発現が低いという観察ともよく一致した。pDCが抗原提示細胞として単独で効率よくT細胞の機能分化に関与する報告はこれまでにない。 外来性抗原など環境因子との相互作用が圧倒的に多い消化管において、自然免疫シグナルを介して機能成熟するPPpDCが、日常的に抗原特異的制御性T細胞を誘導することにより、食物等に対する過剰な免疫応答を抑制し、免疫恒常性の維持に寄与していると考えられた。また自然免疫シグナルを介したバイエル板の健全な発達は、食物アレルギー等にあらわれる免疫機構の破綻を防ぐ生理的なしくみであると考えられた。
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