研究課題/領域番号 |
17047047
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
王 継揚 独立行政法人理化学研究所, 免疫多様性研究チーム, チームリーダー (80231041)
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研究分担者 |
増田 啓次 (増田 啓二) 独立行政法人理化学研究所, 免疫多様性研究チーム, 研究員 (60392122)
大内田 理佳 独立行政法人理化学研究所, 免疫多様性研究チーム, 研究員 (80391887)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
9,400千円 (直接経費: 9,400千円)
2006年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2005年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | 免疫グロブリン遺伝子 / 体細胞変異 / DNAポリメラーゼ / 高親和性抗体 / DNA損傷修復 / ミスマッチ修復 / 遺伝子改変マウス / somatic hypermutation / immunoglobulin gene / low fidelity DNA polymerase / activation-induced cytidine deaminase / abasic site / uracil-DNA glycosylase / affinity maturation |
研究概要 |
DNAポリメラーゼシータ(Polθ)は、N末端にDNAを解くヘリカーゼドメイン、C末端にポリメラーゼドメインをもつユニークな蛋白である。Polθの生理的機能を明らかにするために、私たちはPolθ欠損マウスを作製し解析を行った。その結果、Polθが免疫グロブリン(Ig)遺伝子のC/GならびにA/Tの変異誘発に関わることが判明した。さらに、Polθ欠損マウスにおけるT依存性抗原NP-CGGに対する免疫応答を調べたところ、高親和性抗体の産生が低下したことから、PolθがIg遺伝子の変異誘発を介して抗体の親和性成熟に寄与することが明らかとなった。一方、相同組み換え法を用いてPolθのポリメラーゼ活性を持たない変異B細胞株を樹立した。Polθ変異B細胞株では、spontaneous apoptosisが増加し、さらにDNA架橋剤であるcisplatinやmitomycin C、ならびに二重鎖切断を誘発するγ線やetoposideなどのDNA損傷剤に対する感受性が上昇することが判明した。これらの結果から、PolθはIg遺伝子の体細胞変異のみならず、B細胞の生存および種々のDNA損傷の修復に重要な役割を果たすことが判明した。一方、他のグループにより、PolηがIg還伝子のA/T変異に必須であることが示された。そこで、PolθとPolηの相互作用を解明するために、PolθとPolηの二重欠損マウスを作製し解析したところ、二重欠損マウスにおけるA/T変異の頻度はPolη欠損マウスと同程度であった。従って、Ig遺伝子のA/T変異誘発において、PolθとPolηは同じ遺伝経路で働くことが示唆された。興味深いことに、Polθは、Polηが誘発するミスマッチからの伸張反応を効率よく行えることが判明した。これらのことから、PolθはPolηと協調しIg遺伝子のA/T変異の一部を誘導することが示唆された。
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