研究課題/領域番号 |
17048031
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 長浜バイオ大学 |
研究代表者 |
齊藤 修 (斉藤 修) 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (60241262)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
2006年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | RGS / G蛋白質 / 受容体 / Gq / 小脳 / 細胞膜 / プルキンエ細胞 / カルモジュリン |
研究概要 |
我々は、GPCR系の制御因子としてGαGAPの作用をもつRGSタンパクファミリーに注目して、特にRGS8とRGS8S(N端部9残基のみが異なる)をクローニングして解析を行ってきた。そして、RGS8が小脳プルキンエ細胞に特異的に高発現していること、Gαiファミリーに選択的に結合すること、さらに細胞内分布については、RGS8が、プルキンエ細胞で何らかの機構によって特定の細胞膜に存在することなどが判明した。また、Gq受容体シグナルの制御能を解析すると、RGS8が、Gαqとは結合性が低いにもかかわらず、各ムスカリンGq受容体に対して受容体選択的なGq抑制能を示し、M1系は抑制するが、M3系の抑制は弱いこと、さらにRGS8SはいずれのGq系にも制御能が弱いことなどが判明した。そこで、プルキンエ細胞では、RGS8は特定の細胞膜で受容体選択的なGq制御を行うために、その特異的N端を介してG蛋白質以外の分子と相互作用してRGS8反応複合体を形成し、またRGS8SはRGS8S反応複合体を形成して機能しているものと考えられた。これらの反応複合体の実体を明らかにすることが、本研究の目標である。 そして平成17年までの本研究で、RGS8が、RGS8SにはないN端のMPRR(6〜9残基)の配列をコアにM1ムスカリン受容体などの特定の受容体の第三細胞内ループ(i3)に直接結合し、その直接結合がRGS8の示す調節能にM1受容体への選択的を与える重要な機構であることを、結合実験、BRET解析、電気生理解析で明らかにした。そこで、18年度は、直接結合出来ない受容体系については、どのような機構でRGS8は受容体を選択して調節するか、我々は、未知の因子を介した受容体の間接認識の機構を想定して、新規仲介因子の探索を行った。RGS8をバイトに、イーストTwo-hybrid法で小脳を検索した。すると、25個の陽性クローンが単離され、配列を決定していくとその中に足場蛋白質Spinophilin(SPL)が見出された。SPLは、幾つかの受容体に特異的に結合する事が報告されている足場タンパクである。そこで、まずこのSPLに注目して、SPLのGST融合蛋白質を作成し、これにRGS8と8Sの組み換え蛋白質を反応させ共枕しうるかどうか、結合性を検討した。結果、SPLがRGS8結合性を持っていること、さらにRGS8Sへは殆ど結合しないことが判明した。そこで、RGS8の各種N端欠失変異体を作成して検討した結果、RGS8は前述のM1受容体結合に使うMPRRで、SPLにも結合する事などが明らかになった。これらの知見は、これまでの研究成果を大きく進展させ、「RGS8は、細胞膜上でSPLの関与如何によって制御する受容体がスイッチする複合体システムを持っている」という全く新しい機構を示唆することになった。
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