研究概要 |
PMLボディは未知の機能をもつ核内ボディのひとつであるが,転写因子や転写介在因子などが局在することが報告されている。この構造を解明するための第一歩としてPMLボディ局在性のArntとLBP-1bを用いてFLIM-FRETにより以下の解析を行った。 ArntはPASドメインとHLHモチーフをもち,それらによりAhリセプターやHIF-1αなどとヘテロダイマーを形成し,DNAに結合する核局在の転写因子である。COS-7細胞で一過性に発現すると,スペックル状に分布しPMLボディと一致した。ArntにCeruleanとCitrineを接合し,その間のFRETを観測した。PMしボディを大,中,小の大きさで3つに分類し,それぞれからのFRETシグナルを計測したところ,サイズによるシグナルの強弱は認められなかった。スペックルを形成せず,核に一様に分布している細胞サンプルからはFRETシグナルはほとんど計測されなかった。 LBP-1bにCeruleanとCitrineを接合し,FRETシグナルを調べたところ,やはりPMLボディから,強いシグナルを計測した。核質に分布しているLBP-1bからのシグナルは弱かった。ArntもLBP-1bもホモダイマーを形成することが報告されているので,PMLボディからのFRETシグナルは,そこでダイマーを形成している可能性が考えられた。単なる凝集によるFRETの可能性も排除できず,今後二量体形成に必要な領域の欠失体を発現し,どちらの可能性が正しいか決定する予定である。
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