研究課題
特定領域研究
本研究では、核内染色体テリトリーとクロマチン間領域に存在する核タンパク質との間で、空間的にどのような相互作用が生じているかを明らかにすることを目的とし、染色体テリトリーと核タンパク質を同一核内で同時可視化する実験系の確立を目指した。これには通常の3D-FISH法に先立ち、核タンパク質の免疫蛍光染色を行い、その後、塩酸処理と熱変性処理を行ってDNAプローブをハイブリダイズさせるというステップを踏む。従って、塩酸処理と熱変性処理に耐性を示す抗体を用いる必要がある。培養細胞としてHeLa、Vero細胞を使用し、DNA領域としてヒト染色体ペインティングプローブ、ピストンDNAクラスター領域(6p21.3)、核タンパク質としてピストンH2B、LBR、Ki-67、Hp1-alpha、Coilin(Cajal body)、NELF(Negative Elongation Factor)などを対象とした、いくつかの組み合わせにおいて、蛍光及びハプテン標識抗体を検討した結果、熱変性処理に比較的強い耐性を示す抗体は、ビオチン標識2次抗体とCy3標識2次抗体であることが判明した。これらの核タンパク質のうち、コイリン、NELFは塩酸処理と熱変性処理により蛍光シグナルを消失してしまうため、予めpeameabilization処理後に免疫蛍光染色した時点で3次元画像(A)を取得し、その後、塩酸処理とペプシン処理を行い、3D-FISH法を実施して、再び3次元画像(B)を取得して(A)と(B)をマージすることで、染色体テリトリーと核タンパク質の同一核内における可視化を試みた。その結果、コイリン、NELF、ピストンDNA(6p21.3)の同一核内における可視化に成功した。今後はこの手法を応用し、染色体テリトリーとクロマチン間領域における核タンパク質との空間的な相互作用について詳細を明らかにしていく。
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