研究概要 |
ユビキチン・26Sプロテアソームを介したタンパク質の能動的分解システムは,不要となったタンパク質の分解による除去を行うことで,″品質管理システム″としての細胞内のホメオスタシスの維持に重要である。またこのシステムは,特定のタンパク質の分解することで,様々な生命現象プロセスを誘起するための″分子スイッチ″としても機能することが明らかになってきた。タンパク質分解の実行機械である26Sプロテアソームは,19S調節複合体(19S)と20S活性複合体(20S)から構成される。20Sはペプチダーゼ活性を有するが,20Sの活性調節や標的タンパク質の選択の制御は19Sの調節機能にあると考えられる。本研究では,高等植物の糖シグナル伝達機構において。ビキチン・26Sプロテアソームシステムが関与することが示唆されたため,その解析を行った。 rDt2a変異体は,先に示した糖応答異常とともに,様々な形態異常を示す。その代表例が葉器官の肥大である。詳細な解析によv),rp2a変異体では表皮細胞が巨大化しかつ核相の増加が観察された。これらの結果は,エンドリデュプリケーション(以下ERDと略;細胞分裂を伴わないDNA複製)が促進していることを意味する。プロテアソームサブュニットの異常がERDを促進するとの知見は,これが初めての報告となる。この現象の詳細を解明するため,トライコームと下胚軸でのERD促進現象について分子遺伝学的解析を試み,その遺伝学的ネットワークを明らかにした。また,「細胞周期調節とプロテアソームとの関係」の解明に最終的な研究目標を設定し,細胞周期制御遺伝子との関係,核分裂装置との関係について詳細な研究を進めた。
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