研究課題
特定領域研究
ロゼット葉のmgタンパク質あたりのCDP-エタノールアミン合成活性(PECT活性)が野生型の25.9%に低下したpect1-4変異株、null変異株pect1-6、およびこれらのF1変異株pect1-4/pect1-6(PECT活性は19.4%に低下)について、配偶子形成、胚発生、および胞子体形成における影響を調べた。その結果、胚発生では、PECT1は8細胞期以降の発達に必須であり、PECT1遺伝子発現の低下は、胚発達の遅延や8細胞期以降での胚性致死も引きおこすことを明らかにした。しかし、pect1-6,/PECT1と野生型との相反交雑実験から、配偶子の発達と受精には配偶体世代のPECT1遺伝子は必要ないことを明らかにした。一方、胞子体レベルでは、PECT1遺伝子の発現があるレベル(20〜25%)以下に低下すると、個体の綾化を引き起こし、葯の形成不全や胚嚢の形成異常などを引きおこす割合が高くなることを明らかにした。すべてのpect1表現型は、個体全体でPECT1遺伝子を発現させると完全に回復するが、一部のロゼット葉や花芽に誘導的にPECT 1cDNAを発現させても、誘導した部位の異常は部分的にしか回復しないことから、変異組織間の相互作用がより厳しいpect1表現型をもたらしていると考えられる。pect1個体では、ミトコンドリアを特異的に染色するマイトトラッカーの染色像に異常が見られた。変異表現型とオルガネラ機能との因果関係を立証するために、pect1-4変異体からミトコンドリアを単離する系を確立した。今後、ミトコンドリアやその他のオルガネラ膜をもちいた脂質分析が必要である。
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