研究課題
特定領域研究
(1)新生仔期におけるER-βを介したステロイドホルモン刺激の有無が情動行動の発達に及ぼす影響の検討:周生期エストロゲン刺激により脳の性分化が制御される際に、エストロゲン受容体べ一タ(ER-β)が果たす役割について検討した。生後1-3日目に、エストロジオルベンゾーエート(EB)5μg、あるいはオイルを3日間連続投与されたER-β遺伝子欠損(βERKO)および野生型(WT)の雌マウス(12週令)に卵巣切除およびEBペレットの皮下植え込み処置を行った。7日目より行った明暗箱往来テストおよび社会的探索行動テストにおいて、WTマウスでは、新生仔期でのEB投与により個体としての不安レベルや社会的不安レベルの亢進が見られた。一方、βERKOマウスでは新生仔期EB投与の効果は見られなかった。従って、新生仔期でのEB投与により、雌マウスの不安レベル、社会的探索行動、および社会的不安などが影響されること、このようなエストロゲンの作用には、ER-βが重要な役割を果たしていることが示唆される。(2)アロマテース遺伝子欠損マウスの情動行動特性の解析:脳内テストステロンのエストラジオールへの代謝を促す酵素であるアロマテース遺伝子が欠損(ArKO)した雄マウスは、WTマウスと比べてオープンフィールドテスト(OFT)において高い活動性(雌タイプの行動)を示す。この様な行動変容が周生期でのエストロゲン欠如によるのか、あるいは成体でのテスト時のそれによるのかを検討した。その結果、成体で性腺除去されたマウスにおいても、OFTでの行動にアロマテース遺伝子欠損の効果が見られ、ArKO雄マウスはWTマウスに比べ有意に高い活動性を示した。従って、周生期のエストロゲン刺激の欠如により脳の雄性化が妨げられたことが、成体でのOFT行動の雌タイプへの変容をもたらしている可能性が示唆された。
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