研究課題/領域番号 |
17053002
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
BOERO Mauro 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (40361315)
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研究分担者 |
白石 賢二 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (20334039)
押山 淳 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (80143361)
岡田 晋 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (70302388)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2005年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 量子論 / プロトン移動 / 電子移動 / 理論 / 第一原理計算 / タンパク質 / チトクローム酸化酵素 / ヘム |
研究概要 |
17年度は、(1)チトクローム酸化酵素(CCO)中のプロトン移動径路の電子レベルでの解明、及び(2)CCO中のヘムaの電子状態の酸化・還元による変化の第一原理量子論による検討、の2つのテーマを中心に研究を行った。以下に各テーマの成果概要を箇条書きで述べる。 (1) 月原らによって提案されているCCO中のH径路におけるプロトン移動機構を第一原理計算によって考察した。特に焦点を絞ったのは、H径路の終点であるAsp51直前に位置するターン構造を持つペプチド結合を通したプロトン移動の可能性である。その結果、ケト形のペプチド結合のC=0二重結合にプロトンが添加されるとその反対側のN-H結合からプロトンがAsp51に渡されること、さらにその後C=0二重結合に添加されたプロトンは直接Asp51付近のN原子に移動するより、隣接するペプチド結合中のN原子を経由して移動する方がエネルギー的に23kcal/mol程度活性化障壁が低下することを明らかにした。この結果は、ターン構造をもつペプチド結合は周囲の環境によってはプロトン移動の径路になることを示している。本成果は、従来の水素結合を通したプロトン移動とは全く別の機構のプロトン移動径路の存在の可能性を明らかにしたことでその意義は大きい。 (2) H径路付近に存在するヘムaの酸化・還元による電子状態変化を電子レベルで解明した。その結果、ヘムaを還元して電子を添加すると、添加された電子は基本的にポルフィリン環のπ軌道に収容されることを明らかにした。これは鉄イオン上における極めて強いクーロン反発力のため、鉄のd軌道が還元時に大きく上昇することがその起源であることも解明した。その結果として鉄イオンから遠く離れたホルミル基の0の周辺にまで電子移動は起こり、ホルミル基近傍に存在するArg38の影響でホルミル基周辺の電子増加量は非常に大きくなることを明らかにした。
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