研究課題/領域番号 |
17053015
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高木 淳一 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (90212000)
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研究分担者 |
禾 晃和 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (40379102)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | アミロイド / アルツハイマー病 / 神経変性 / 受容体 |
研究概要 |
アルツハイマー病の病因に深く関わるアミロイドβ蛋白質(Aβ)はアミロイド前駆体蛋白質(APP)という受容体様の蛋白質から切り出される。APPは受容体様のI型膜蛋白質なので、生理的にはその細胞外ドメインで何らかのリガンドと相互作用してニューロンの高次機能発現に寄与していると予想されているが、いまだにその生理的リガンドは同定されていない。 本研究では、APPの細胞外ドメインを組み換え蛋白質としてつくり、まずその溶液中での物理化学的性質を調べた。組み換え蛋白質の作製には動物細胞発現系を用い、5つのドメインからなる細胞外領域をえた。この蛋白質をゲルろ過クロマトグラフィーによって分析したところ、モノマーの分子量(55kDa)より遙かに大きい分子量の位置に溶出ピークが現れ、しかもこの位置がpHによって大きく変化することを見いだした。さらに分析用超遠心分離法を用いて絶対分子量の決定をおこなったところ、pH5.5および8.0ともに約6〜7万となり、APP細胞外ドメインは溶液中でモノマーであること、そして極めて細長い分子形状を持ち、その形状がpHが中性から酸性側にシフトするに従って球状に近いものに遷移することが明らかとなった。 次に、アミロイド産生に主要な役割を果たす膜結合型酵素、βセクレターゼ(BACE1)とAPP細胞外ドメインの相互作用について検討した。BACE1の細胞外ドメインも動物細胞発現系を用いて作製し、APP細胞外ドメインとの相互作用を調べたところ、pH6.0付近で特異的な結合が見られた。上の結果と合わせると、APPとBACEの特異的な相互作用にはAPPの大きな構造変化が必要であることを強く示唆している。しかもこの相互作用は細胞外スペースではなくエンドソーム内の環境に近いpH6.0で最大になることは、Aβ産生のメカニズムを考える上で興味深い。
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