研究課題
特定領域研究
細菌やウイルスなどの外部由来物質から、我々ヒトは免疫により守られている。外部由来物質を認識したT細胞は、インターロイキン(IL)-2およびIL-2受容体(R)を産生する。IL-2Rはα,β,γ鎖と呼ばれる3種類のサブユニットから構成されており、IL-2を介してヘテロ3量体を形成することにより、T細胞内に増殖シグナルを誘導する。この結果、抗原に特異的に応答するT細胞が増殖し、免疫応答を活性化する。IL-2は1980年代後半に結晶構造が解析されたが、IL-2Rの3つのサブユニットの構造は何れも未知であり、認識機構に関する構造生物学的知見は得られていなかった。そこで、3種類のIL-2Rの単独、およびIL-2/IL-2R複合体の結晶構造を明らかにし、IL-2とIL-2Rの認識機構を構造生物学的に解明することを思い立った。IL-2Rα細胞外ドメインのC末端にHis-tagを付加する様に遺伝子の改変を行い、大腸菌を用いた発現系を構築した.その後,Niカラム・ゲルろ過・イオン交換クロマトグラフィーにより精製を行った.IL-2RβおよびIL-2Rγの細胞外ドメインにはN型糖修飾部位が各々4ヶ所および6ヶ所あるため,CHO変異体細胞であるLec3.8.2.1(LecR)細胞を用いて発現することを計画した.LecR細胞が産生する蛋白質は,endoHを用いてNアセチルグルコサミンを1残基残して切除することが可能であり,結晶解析に適している.そこで,IL-2RβおよびIL-2Rγの細胞外ドメインの安定発現株をLecR細胞を用いて構築を行った.IL-2Rβについては,高発現株の選択・精製・結晶化を行い,微結晶を得た.IL-2Rγについては,高発現株の選択を終え,大量培養・精製法を確立した.
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
FEBS Letters 580
ページ: 491-496
120005499991
British J.Ophthalmology 89
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