研究課題
特定領域研究
小Maf群因子はbZip型転写因子で、ホモ2量体、あるいは、CNC群因子とのヘテロ2量体を形成してDNAに結合する。小Maf群因子とCNC群因子の核内有効存在量は様々な局面において変動するものと予想され、それに伴い、不活性なホモ2量体と転写活性化能を有するヘテロ2量体による制御の均衡も変化する。私は、先に、巨核球の終末分化過程である胞体突起形成が、小Maf群因子MafGとCNC群因子NF-E2 p45の量的バランスを鋭敏に反映するシステムであることを見いだした。また、小Maf群因子がp45との間の量的バランスにより、転写の活性化・抑制のいずれにも関与しうる両方向性転写因子であること、さらに、MafGによる転写抑制にはSUMO化修飾が必須であることを明らかにしてきた。今年度は、MafGのSUMO化による転写抑制のメカニズムを明らかにするために、SUMO修飾を受けたMafGの性質をin vitroにおいて詳細に検討した。SUMO化はMafGの2量体形成やDNA結合には大きな変化を及ぼさないが、一方、SUMO化に依存したMafGによる転写抑制はトリコスタチンA感受性であり、本過程にヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の関与が示唆された。また,p45の存在下では、MafGのSUMO化が効率的に抑制された。以上の結果より、p45に対してMafGが過剰に存在して、MafGホモ2量体形成が優勢であると、そのSUMO化が促進され、HDAC依存的に転写抑制が起こることが示唆される。すなわち、小Maf群因子のSUMO化は、小Maf群因子とCNC群因子の量的バランスによる転写のオン・オフ決定機構の重要な鍵を担っているものと思われる。またさらに、MafG C末端領域がSUMO化修飾に必須であることもわかっていたが、そこに相互作用する約100kDaの蛋白質を見いだし、現在質量分析により同定を試みつつある。
すべて 2006 2005
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