研究課題
特定領域研究
核内受容体型転写因子群の活性制御機構について、特にリガンド以外のシグナルや異なるクラスの転写因子依存的な転写共役因子複合体、染色体構造調節因子複合体の修飾・構成因子群の変化に関し、主に生化学的なタンパク精製の手法を用いて解析を行った。更に脂肪細胞や骨芽細胞の分化等を用いて、同定した因子群の機能について分化・増殖・恒常性維持等における核内受容体標的遺伝子の発現制御等の観点から検討を行った。その結果、脂肪酸応答性核内受容体型転写因子であり、脂肪細胞分化の鍵因子であるPPARγのリガンド依存的転写活性化能を負に制御する膜シグナルを新たに同定する事に成功した。更にこのシグナルの最下流因子にヒストン修飾因子が含まれる事から、このシグナルのクロストークがクロマチン構造を変化させる事でPPARγ活性を負に制御する事を見出した。さらに骨髄間葉系幹細胞における実験の結果、このシグナルがPPARγ依存的な脂肪細胞分化を抑制し、骨芽細胞分化を正に制御する事を見出した。また、このシグナルの遺伝子欠損ヘテロマウスにおいて大腿骨を観察した結果、20週齢前後の雄マウスにおいて脂肪細胞の増加が見られた。現在以上の結果を論文にまとめ投稿準備中である。この他、乳癌関連遺伝子BRCA1の転写活性化領域と相互作用する因子としてDNA修復関連因子MSH2,6を単離同定し、転写とDNA修復の機能重複の一端を解明する事や、核内受容体転写因子の一つで胆汁酸と結合し機能するFXRと相互作用する新たな転写共役因子の同定に成功した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
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