研究課題
特定領域研究
細胞外マトリックスが超分子複合体の特異性を決め、細胞内シグナル経路を制御し、細胞の挙動と運命に重要な働きをしていると考えられる。この研究では、細胞外マトリックス分子による超分子複合体形成誘導の解析と機能の分析をすることにより、細胞内シグナル初期過程における分子制御機構の解明を目的とした。神経突起伸長や筋収縮等の事象を例に挙げ解析してきた。また、in vivoにおいては、ラミニンやパールカン等基底膜成分からなる特殊構造fractoneが成体での神経再生シグナルを制御している可能性につきハワイ大学のMercier博士と共同研究を継続してきた。検討したモデル系はいずれも基底膜構造が単なる支持組織でなく、分化や増殖などのシグナルを制御することを示すものである。本研究は特定領域‘細胞外環境'の中で特に細胞外マトリックス分子の機能に焦点を置いた課題であるが、これに関わるメカニカルストレスやカルシウムシグナルなども広義の細胞外環境であり、滑膜細胞にてこれらのシグナルを検討し報告した。筋収縮や筋肥大シグナルに関しても、マイオスタチンシグナルを介して制御していることを報告した。細胞外マトリックスに関わるこれらの成果は本領域の根幹をなすテーマの一つと考えられる。
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