研究分担者 |
片山 葉子 東京農工大学大学院, 共生科学技術研究院, 教授 (90165415)
兼保 直樹 産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門・地球環境評価研究グループ, 主任研究員 (00356809)
小林 拓 山梨大学大学院, 医学工学総合研究部, 助教 (20313786)
大河内 博 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (00241117)
三浦 和彦 東京理科大学, 理学部, 講師 (00138968)
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配分額 *注記 |
51,090千円 (直接経費: 39,300千円、間接経費: 11,790千円)
2007年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2006年度: 15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
2005年度: 25,220千円 (直接経費: 19,400千円、間接経費: 5,820千円)
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研究概要 |
エアロゾルの種類,濃度や組成が季節的・空間的に変動する特徴的な地域である東アジアにおいて,我が国の最高峰である富士山を観測タワーとして利用して,エアロゾルの諸特性(濃度変動、粒径分布、化学組成、光学特性、雲・霧過程)などにつき研究した。観測は諸制約から夏季に限られたため,寒候期に活発な大陸からの汚染気塊の長距離輸送事象を多数把握することは実現しなかったが,夏季には,山頂,7合8勺でのエアロゾルおよび前駆気体は,局所的な山谷風に支配され,夜間から早朝にかけて自由対流圏条件となる場合が多いという特徴を詳細に把握できた。そのため,夜間と昼間とでは上層で観測される大気化学種およびエアロゾル種の起源が異なることがわかった。昼間は国内由来の人為起源物質が上層に輸送され,一方夜間には上層から長距離輸送されてきた人為起源物質が検出される。また,前線活動と関わり大陸からの越境汚染事象が観測され,条件を満たせば,夏季でも多様な大陸起源汚染物質が観測されることもわかった。ラジオゾンデの観測,簡易測器による山体の多地点での地上気象観測やその他の気象観測との比較により,初めて山腹で山谷風を定量的に把握できた。その結果,山体を広く包囲した地表風の系統的な観測が,山体を観測タワーとして利用する上で有効と推定できた。混合層高度については,パッシブサンプラーにより測定されたO_3とNO_xの鉛直分布から,2km前後に境界があることが判明し,混合層の上端が推測できた。近傍に汚染源が少ないために,富士山麓の太郎坊および名古屋大学太陽地球環境研究所富士観測所は,都市近郊の地域として,都市汚染に関する対照観測地点ともなり得る。酸性雨・霧をはじめとした生態系影響評価に向けたフィールドとしての価値を改めて確認できた。なお,大気輸送モデルの利用により観測データの一般化を行ったが,今後は富士山の地形を適切に表現できる領域化学輸送モデルの活用も考慮する必要がある。
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