研究課題
基盤研究(A)
ラボスケールの充填層実験装置および流動層実験装置を用いて、ガラス粒子径(〜500μm)、Na反応率(〜0.8)、HCl分圧(〜0.9atm)を変化させたときの、ガラス中のNaによる塩化水素の中和反応速度を実験的に求めた。ガラス中のNaによる塩化水素中和反応速度はガラス中のNaの拡散モデルで表すことができ、ガラス中のNaの拡散係数は3.3×10^<-16>m^2/sであった。上記の反応速度等のデータに基づいて、流動層・移動層の2段反応中和システムの詳細な設計を行った。粉砕にかかる動力を抑制しながら、高い塩素の中和効率を持たせる条件について検討した。その結果、:ガラス粒子を平均粒子径d_<50>=100μmで粉砕した後、150μmで分級し、d<150μmの粒子を流動層で、d>150μmの粒子を移動層で利用するシステムが好適であることを明らかにした。上記の設計データに基づいて、ラボスケールの流動層中和反応装置で塩化水素含有ガスの中和実験を行った。d<150μmのガラス粒子を用いた実験では、中和反応の進行に伴って粒子の凝集が発生し流動化が停止する問題が明らかとなった。AFMを用いた付着力測定の結果、表面に析出したNaClによって付着力が増加していることが示された。凝集を抑制するために、チャー粒子をガラスに対して10%以上添加することによって、流動化停止を抑えて安定的に連続運転可能であることが示された。チャー粒子を添加した状態でも、ガラスによる塩化水素の中和速度に変化はなく、チャー粒子が凝集抑制剤として利用可能であることが明らかとなった。DSCを利用して中和反応熱を直接測定するシステムの開発を行い測定を行った結果、中和反応熱は320.9kJ/molで、この値を用いてプロセス計算を行った結果本プロセスの効率は77.7%であった。
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