研究課題
基盤研究(A)
本研究の目的は、これまで困難であった有機非晶質材料の静的・動的精密構造解析を可能にするための固体NMR手法を確立し、有機非晶質材料の基礎科学に寄与することにある。本研究により、有機低分子系材料、合成・天然ゴムを含む高分子材料の静的・動的精密構造解析を推進することができた。合成・天然ゴムに関しては、それらのブレンド中のカーボン分配率を決定するための、極めて簡便かつ汎用性の高い固体NMR手法を開発することができた。また、ポリシランを例として、合成高分子におけるrotator phase存在を明らかにする有用な固体NMR手法を提示することができた。さらに合成に関しては、遷移金属を用いないリビングラジカル法を開発した。また、本研究で特に注力した研究対象は、有機EL材料である。有機EL素子において広く用いられているAlq_3に関して、その発光が分子間パッキングの違いではなく異性体状態により決まるという明確な実験的証拠を、二次元二量子固体(2D DOQSY)NMR測定により得ることができた。現状ではAlq_3の異性体状態の決定はX線回折法では困難であり、本研究で得られたこの結果は、固体NMRによる構造解析の重要性を示すものである。得られた発光特性-構造相関に基づいて素子作製を行った結果、δ型およびα,γ,δ型混合結晶から作製した素子は、従来のα型から作製した素子よりも高い輝度を示すことがわかった。正孔輸送材料であるTPDに対しては、その非晶状態における分子間距離を、スーパーサイクルR26_4^<11>パルス系列を利用した固体NMR測定により決定することができた。これは、TPDの電荷輸送に対するホッピング距離を実験的に明らかにした初めての例である。今後、本研究により得られた知見を基に、さらに高効率の素子の作製を進めて行くとともに、素子内での有機分子の直接状態観測へ向けて研究を展開して行きたい。
すべて 2008 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (40件) (うち査読あり 17件) 学会発表 (56件) 図書 (13件)
Chemical Physics Letters
120001750136
Japanese Journal of Applied Physics 47
ページ: 1377-1381
Jpn. J Appl. Phys 47
Proceedings of SPIE 6655
ページ: 1-10
Macromolecules 40
ページ: 9451-9454
Adv. Mat. 19
ページ: 4343-4346
Chem. Eur. J 13
ページ: 10182-10193
ページ: 5420-5423
Polymer Journal 39
ページ: 502-503
高分子 56
ページ: 35-35
Polym. J 39
San Diego, CA, USA 6655
ページ: 66550401-66550410
Adv. Mater 19
Polymer 47
ページ: 2470-2481
Polymer Journal 38
ページ: 277-288
10017315126
Journal of the American Chemical Society 128
ページ: 4292-4297
高分子 55
ページ: 744-749
ページ: 2470-2480
Modern Magnetic. Resonance
ページ: 559-562
J. Am Chem. Soc 128
Polym. J 38
Journal of the American Chemical Societ 128
Chemical Physics Letters 401
ページ: 246-253
Japanese Journal of Applied Physics 44
ページ: 3706-3711
Jpn. J. Appl. Phys 44
130004534124
Chem. Phys. Lett 401