配分額 *注記 |
51,740千円 (直接経費: 39,800千円、間接経費: 11,940千円)
2007年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2006年度: 23,530千円 (直接経費: 18,100千円、間接経費: 5,430千円)
2005年度: 20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
|
研究概要 |
磁気ディスク記憶装置(ハードディスク)やマイクロ・ナノマシンなど,近年の機械要素の微小化にともなって,1nmオーダの厚さの超薄膜状潤滑膜(ナノ潤滑膜)による潤滑技術の確立が要請されている.この領域では,厚さに比して液体分子の大きさが無視できなくなり,従来の連続流体的な取り扱いが破綻し,バルク潤滑膜とは異なる新たな潤滑理論の構築が必要となるが,未だ確立されていない.その最大の障害は,隙間1nmオーダの摺動面間の現象を,従来の計測技術ではとらえることが困難な点にある.本研究では,ナノ潤滑膜の潤滑特性計測法を確立し,ナノ潤滑膜による潤滑状態の解明を目的とした.具体的な計測法としては,サブnmオーダの隙間制御とサブnNオーダの高感度力検出が両立でき,かつ摺動時の潤滑膜の動的分布の観測が可能な方法を確立する.測定法開発として,せん断力測定,鉛直力測定,隙間測定,動的膜分布観測,これらに加えて要素技術を統合した装置による潤滑特性測定,の5項目についての研究を進めた.せん断力測定,すきま測定法を組み合わせ,1nmオーダの厚さの液体潤滑膜の力学応答計測に成功した.固体基板表面との相互作用の強さが異なる極性および無極性潤滑膜の応答を調べ,吸着層形成の有無が力学応答に大きな影響を与えることを見出した.また,せん断力測定法と鉛直力測定法を組み合わせ,二つの力の同時測定が可能であることを示した.さらに,ナノ潤滑膜の動的膜分布の可視化可能な新規な光学観測法を着想し,原理実験に成功した.今後は,せん断力,鉛直力,および膜観測を同時計測可能として,ナノ潤滑現象の体系的な解明を進める.
|