研究課題
基盤研究(A)
プラズマ対向炭素タイルでの損耗/堆積とトリチウム蓄積を明らかにするため、様々な実機(JT-60U)実験および実験室実験ならびにびシミュレーションを行った。得られた結果は以下のようにまとめられる。 (1)JT-60U内でD-D反応により生成された1MeVのトリチウム(T)の約半分は軌道損失およびリップル損失機構によりそのエネルギーを失うことなくタイル表面から1μm以上の深さに打ち込まれていた。特に第1壁水平位置、内外のダイバータ、内側バッフル板そしてドーム部に多く蓄積されている事を見いだした。 (2)ダイバータのポロイダル方向の再堆積・損耗分布を調べた結果、外側ダイバータは損耗(最大損耗深さ約70μm)され、内側ダイバータ部では炭素の再堆積層(最大230μm程度)が形成されていた。損耗された炭素は外側ダイバータから内側ダイバータに一気に運ばれるものではなく、損耗された炭素はいったん近距離に再堆積し、再び損耗され再堆積するサイクルを繰り返しながら輸送されていることを明らかにした。 (3)ダイバータ領域での炭素再堆積層には作動ガスであるD(H)が多量に蓄積されており、その水素濃度は(H+D)/Cの原子比で0.03程度であった。これにより装置全体の水素の蓄積率(供給された水素のうち排気しないで装置内に蓄積していくものの割合)は装置の運転温度によって大きくことなるが、おおよそ見積もることが出来るようになった。 (4)JT-60トカマク実験装置内の上記のような水素の蓄積は、動的な蓄積と静的な蓄積の2つの成分に分けることができる。 (5)炭素再堆積層およびその中に蓄積された水素の除去法として、レーザーアブレーションによる炭素膜全体の除去法の開発に成功した。
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