配分額 *注記 |
30,550千円 (直接経費: 23,500千円、間接経費: 7,050千円)
2007年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2006年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2005年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
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研究概要 |
Fcレセプター(FcR)は免疫系細胞を正と負の両方向に制御する分子群であり,その制御様式や免疫疾患との関連を理解することはアレルギーや自己免疫疾患の克服の点で極めて重要である.本研究で代表者は,FcRの応用的展開を目指した.具体的には自己免疫疾患における抑制性FcγRの役割の解明,FcRをターゲットにした免疫疾患の治療モデルの構築,さらにはモデル動物由来の不死化培養細胞の新規な作製方法の開発に基づいてin vitro薬効評価系の開発を行った.成果の一例を示す.多量のγグロブリンを静注する,intravenous immunoglobulin療法,いわゆるIVIGは1960年代からγグロブリンの補充を目的に免疫不全症に適応されていたが,現在は多くの自己免疫疾患で有効性が確認され,利用されているものの,その治療効果のしくみは良く分かっていない.IVIGの効果はFcγRIIBの発現に依存するという報告も見られ,FcRを介する効果が含まれることは疑いない.我々がこれまで作製してきたアレルギー,自己免疫疾患モデルにおいてIVIGの効果を網羅的に調査し,とりわけI型糖尿病NODマウスモデルにおいてFcγRの役割とIVIGの効果について検証した.その結果,I型糖尿病は少なくとも一部の機構として活性化型FcγRに依存した発症を示すこと,ここにおいてFcγRIIBは発症に際立った関与はしないこと,さらにIVIGが発症の遅延と軽症化に有効であることが示された.これはごく限られた例しか知られていないIVIG効果を示す自己免疫疾患モデルとして有用であるばかりか,IVIG効果の実体を追究する実験系となり,より有効なIVIG製剤の開発にとって極めて重要な成果となった.
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