研究課題
基盤研究(A)
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)はアンドロゲン受容体(AR)の遺伝子変異を原因とする運動ニューロン疾患である。我々は、本疾患の病態が男性ホルモンに依存しており、アンドロゲン低下療法が本疾患の治療となることを明らかにしてきた。現在、その臨床応用を推し進めている。加えて、他の治療戦略として、ポリグルタミン病の病態に深く関与している熱ショック蛋白質(HSP)を介した治療法について検討した。Hsp90阻害剤である17-AAG(17-allylamino geldanamycin)は、培養細胞において濃度依存性に変異ARの蛋白量を減少させ、マウスモデルの筋萎縮、歩行運動能などを有意に改善した。一方、Hsp70誘導剤であるgeranylgeranylacetone(GGA)はSBMAマウスの脊髄においてHsp70の発現量を増加させ、神経変性を改善した。SBMAをはじめとする神経変性疾患では、症状の進行が極めて緩徐であるため、効率的な臨床試験の実施のためには代用エンドポイントとなるべきバイオマーカーが必要である。SBMA患者の陰嚢皮膚における変異アンドロゲン受容体の核内集積の程度は脊髄における集積の程度を反映しており、かつ患者の臨床的重症度と相関していた。以上から、陰嚢皮膚における変異アンドロゲン受容体の核内集積はSBMAの病態を強く反映する優れたバイオマーカーであると考えられる。また、発症前のSBMAモデルマウスでは変異アンドロゲン受容体の核内集積によるdynactin1の転写障害がみられ、これが逆行性軸索輸送を阻害し、ニューロフィラメントなどの軸索タンパクの異常蓄積を起こしていることが明らかとなった。SBMAおよび他の運動ニューロン疾患の治療標的として、軸索輸送障害は重要であると考えられた。(750字)
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