配分額 *注記 |
47,970千円 (直接経費: 36,900千円、間接経費: 11,070千円)
2007年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2006年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
2005年度: 24,960千円 (直接経費: 19,200千円、間接経費: 5,760千円)
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研究概要 |
細胞密度感知機構(クオラムセンシング)の担い手であるオートインデューサー(AI)を利用したオーラルバイオフィルムの抑制法や阻害剤の開発を目指して研究を行った。 合成した計20種のAI類似化合物がPorphyromonas gingivalisのバイオフィルム形成に及ぼす影響を,in vitroのバイオフィルム形成モデル上で,細菌学的および3次元形態学的に検索した。C_<16>H_<32>N_2O,C_<19>H_<29>NO_3ならびにC_<11>H_<14>N_2O_3の3種類の化合物は,P.gingivalisのバイオフィルム形成に対しアンタゴニスト様に作用したが,9種類はバイオフィルム形成量が有意に増加した。アンタゴニスト様効果を示した3種の化合物作用群では,バイオフィルムの厚みが薄く,形成領域は狭かった。赤血球凝集活性および細胞外マトリックスへの付着には影響がなかったが,高濃度ではKgpおよびRgp活性を低下させ,その病原性にも影響した。これらの研究成果は,抗バイオフィルム薬の開発に向けた,in vivo実験や臨床治験の礎となる重要な新規の知見である。 一方,歯周病関連細菌であるEikenella corrodensのAIの産生に関与するLuxSの欠損株を,E. corrodens1073株より作製した。LuxS欠損株と親株とのバイオフィルム形成能を静置系とフローセル系で比較検討し,静置系では欠損株は親株より約L3倍形成量が増加するが,フローセル系では欠損株のバイオフィルム形成量は有意に低下し,バイオフィルム内の細菌密度が低いことを3次元形態学的に明らかにした。E. corrodensでは,バイオフィルムの成熟にはLuxSだけでなく複数の遺伝子が関与していと推察されるが,初期のバイオフィルム形成にはLuxSが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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