配分額 *注記 |
11,920千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 1,020千円)
2007年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2006年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2005年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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研究概要 |
下オリーブ核神経細胞の二次性肥大反応における発現遺伝子群から,ポリグルタミン病の変異蛋白質の分解に関わる分子種を探索した.マウスに片側性の下オリーブ核肥大を惹起させ,非肥大側を対照としたmRNA発現遺伝子解析を行い,約36,900種の遺伝子中,肥大側で約890種(2.41%)の発現増加、約530種(1.44%)の発現低下を明らかにした.さらに,肥大側と対側で蛋白質発現の差異をEttan^<TM>DIGE(2-D Fluorescence Difference Gel Electrophoresis)システムにより検討した.この結果,肥大側優位に発現が増加している蛋白質を4種類特定し得た.2種はアデノシン三リン酸合成酵素に関連する分子であり,ヒトおよびマウスの下オリーブ核肥大神経細胞において発現の充進が認められた.伸長ポリグルタミン鎖を含む変異蛋白質が核内蓄積した病的神経細胞では有意な発現亢進は認められず,当該分子の発言は下オリーブ核神経細胞の二次性肥大反応に関連したものと示唆された.他の2種類のうち1種類はカルシウム結合蛋白であり,ヒト剖検脳では正常の下オリーブ核神経細胞は陰性であったが,肥大神経細胞では胞体内にびまん性の陽性像が得られた.この変化はDRPLAおよび対照例の下オリーブ核肥大で共通に観察されたことから,ポリグルタミン病に特異的な反応ではなく,神経細胞の肥大現象に関連した分子発現と思われた.一方,実験的に片側性下オリーブ核肥大を作成したマウス(作成1ヶ月後)の脳組織では,ヒト脳で観察されたような明確な陽性像はこれまで得られなかった.
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