配分額 *注記 |
12,070千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 870千円)
2007年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2006年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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研究概要 |
本研究では,血管系の精密な形態学,材料特性および力学のモデルに基づき,ヒト循環器系の多重スケールにおける循環機能を総合的に評価できる循環系マルチスケール力学シミュレータを構築して,計画通り下記のような成果が得られた. A.循環器全身血管系の形状・力学特性モデルのデータベース化 VHP画像に基づき,統一的手法で循環器全身血管の幾何学モデルと計算格子生成を行えるシステムを構築し,全身動脈・静脈血管系(計377本)の幾何学形状及び力学特性を網羅するデータベース化を行なった. B.循環器血管系全身力学モデルの開発 MRIやCTなどの医用画像を基に,循環器全身血管系の0-1次元モデル及び大きな動脈・静脈血管系の3次元モデルを構築し,循環器マルチスケールシミュレータのプラットフォームの開発を施した.また循環器血管系の各部位の血圧や血流の生理学的データと比較し,その妥当性を確認できた. C.生理学的モデルの開発 循環器系の血液循環に関わる血流の動的調節モデル,体勢変化や機能・病的変化を制御する交感神経系モデルを統合する循環器系の生理学モデルを開発した.また軽度な下半身の運動や立ち上がりによる血圧の変化等について実験結果と比較し本モデルの有効性を検証した.これは、当初計画以上の成果である. D.循環器統合シミュレータの開発 循環器血管系全身の低高次元連成と生理学的モデルを統合し,循環器統合マルチスケールシミュレータのプラットフォームの開発を施行した.左心室疾患、腎動脈狭窄、加齢などの臨床問題へ応用し,生理学的データとの比較・検討を通して本循環器統合シミュレータの有効性を確認できた.とくに循環器全身血管系の圧力波の伝播・反射を再現できる1次元モデルとの連成の有無は,腹部大動脈付近に振動ずり応力に顕著な相違をもたらすことが分かった.これは循環器統合マルチスケールシミュレータの重要性を示唆する.
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