配分額 *注記 |
15,720千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 1,020千円)
2007年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2006年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
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研究概要 |
本研究では,軟組織適合性を有する新規な生分解性ソフトバイオマテリアルを開発することを目的として,8本の分岐構造を持つマルチアーム型ポリエチレングリコール(8-arms PEG)とポリ-L-乳酸(PLLA)から成る両親媒性の星型ブロック共重合体(8arms PEG-b-PLLA)よりキャストフィルムを調製し,その血漿タンパク質吸着量,繊維芽細胞接着挙動,抗血液凝固性などを評価した。その結果,フィルム表面へのタンパク質吸着や細胞接着が効果的に抑制され,高い抗凝固活性を示すという知見を得た。このポリマーフィルムはタンパク質,細胞,血液などの生体成分に対してイナートな表面特性を示し,分解吸収型の組織非接着性ソフトバイオマテリアルとして興味深い素材である。 一方,室温で溶液(ゾル)状態で,体内に注入すると体温でゲル化し,生体内で無毒な成分に分解される生分解性温度応答性ポリマーは,インジェクタブルポリマーとしてDDSや再生医療の分野で有望視されている。8arms PEG-b-PLLAを基本骨格とする温度応答性ゾル-ゲル転移ポリマーについて検討した。特に,このポリマーの末端に適当量のコレステロールを導入したものは,室温と体温の間にゾル-ゲル転移点を示し,ゲル状態において,これまでに報告されている同種のポリマーよりも高い力学的強度を示すことが明らかとなった。さらに,このポリマーを血清入り培地に溶解してマウス繊維芽細胞を懸濁させ,加温して細胞封入ゲルを作成したところ,細胞は死滅せず良好に増殖することが確認された。さらに,これらのポリマーから調製したゲルは生理条件下において数週間で加水分解して可溶性となることも分かった。以上の結果より,本研究で開発したポリマーは,インジェクタブルな組織再生用足場材料やドラッグデリバリー材料として有用である。
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