研究概要 |
1.喉頭運動検出器の設計と製作 反射型フォトセンサは,近赤外光ダイオードとフォトダイオードとの対からなり,反射面で反射した光をフォトダイオードが検出する.その反射光の強度がセンサ/反射面間距離の2乗に反比例することを利用すれば,反射面までの距離を推定できる.このセンサを1次元配列し,反射面までの距離を同時測定すれば,面の1次形状が測定できる.はじめに,12個の反射型フォトセンサを縦に配列した検出部と,このセンシング部を前頭部に固定するアダプタを製作した. 2.健常者の水嚥下時における喉頭運動の測定・運動パラメータの決定 健常者に水10[ml]を一息でのんでもらい,そのときの喉頭運動を測定する.被験者は,実験の意図と手順を十分理解し,かつ実験に同意した5人とした.従来の研究結果を参考にして,新しい喉頭運動の分析パラメータを決定した.従来の分析方法は,喉頭の上下位置を8[mm]間隔で区切り,各区間の移動時間をパラメータとしていた.そこで,本研究でも便宜的に挙上運動を4相に区切り,時間パラメータとした.まず,嚥下開始時を顎二腹筋の筋活動開始時とし,t_0とした,この時刻t_0における位置から喉頭が5[mm]挙上した時点をt_1,同様に,t_0における位置から10mm,15mm,20mm挙上した時点をそれぞれ,t_2,t_3.t_4とした.これらの時刻{t_0,…,t_4}から,喉頭運動の時間パラメータ{t_<0,1>,t_<1,2>,t_<2,3>,t_<3,4>}を算出した.実験回数は5回とした. 実験手順は以下の通り: 1)被験者に水を口に含んでもらい,合図とともに一息で飲んでもらう. 2)嚥下時の喉頭運動・顎二腹筋筋電図,嚥下音を同時測定する. 3)測定データから分析パラメータを算出する. 各被験者の5回の測定データから,分析パラメータ{t_<0,1>,t_<1,2>,t_<2,3>,t_<3,4>}の全被験者に関する平均値と標準偏差を算出した.それぞれ0.31±0.09[s],0.11+0.07[s],0.06±0.03[s],0.04士0.02[s]であった.この結果は喉頭運動の始め遅く,徐々に速くなる特徴と一致した.
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