研究課題
基盤研究(B)
我々は、予備実験として老齢の老化マウス(SAM)に若齢マウスの骨髄を静脈内投与した。水迷路試験による記憶力の評価を行ったが、骨髄投与による改善効果は認めなかった。従って、骨髄細胞の静脈内投与では老化予防の効果は乏しく、有用遺伝子を導入した骨髄細胞を直接脳や骨髄などのターゲットとなる組織に投与する必要があると考えられた。そこで、ラットの中大脳動脈閉塞モデルによる一過性脳虚血モデルを用いて、FGF-2遺伝子を1型ヘルペスウイルスをベクターとして導入した骨髄間葉系幹細胞を脳内に注入したところ虚血後の神経学的重症度が著しく改善し、虚血14日後の脳梗塞のサイズも有意に縮小した。FGF-2の蛋白発現に関しては、ELISA法にて確認できた。また、FGF-2の遺伝子導入しない間葉景観細胞移植に比べても遺伝子導入のほうが有意に神経機能の回復が良かった。次に、HGF遺伝子を同様に導入した骨髄間葉系幹細胞を虚血脳へ投与が、神経機能改善効果を有するかについて、ラットの中大脳動脈閉塞モデルによる一過性脳虚血モデルを用いて検討した。虚血14日後には、有意に脳梗塞面積の縮小を認めた。特に、虚血周囲組織におけるアポトーシスに陥る細胞数が減少し、同部皮質領域の神経細胞数も有意に残存した。これらの実験では、骨髄細胞およびFGF-2やHGFが虚血に対して間接的に保護的な効果を有することを示しているものの、直積的な神経再生に関わっている証拠は見出せなかった。今後は、骨髄細胞の骨髄内移植などの検討を要するものと考えられた。
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J Cereb Blood Flow Metab 26・9
ページ: 1176-1188
J Cereb Blood Flow Metab 26 (9)
Stroke 36・12
ページ: 2725-2730
Stroke 36 (12)