配分額 *注記 |
15,190千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 690千円)
2007年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2006年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2005年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
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研究概要 |
充てん材とマトリックスが共に化学的に同種の素材から構成され,かつ環境調和性に優れる同種異形複合材料の創製を行うと共に,得られた複合材料の機能・性能について検討を行った。 環境調和性の観点から,素材としてセルロースを取り上げ,繊維表面の部分溶解を利用した全セルロース複合材料の創製に取り組んだ。その結果,この複合材料は従来型のガラス繊維強化FRPを凌駕する力学物性を示すのみならず,透明性,耐熱性も併せ持つことを見出した。この成果については学術論文,国内外の学術会議での招待講演として報告し,研究代表者のセルロース学会賞の業績の一部となった。また,作製プロセスを含めた環境調和性の観点から,超臨界二酸化炭素を媒体とするセルロース繊維表面の混合エステル化に成功し,加熱圧縮を経て複合材料を創製することに成功した。これにより,有機溶媒や可塑剤を使うことなくセルロース系素材の成形加工を行う手法を確立することができた。さらに,生分解性高分子としてポリビニルアルコールを取り上げ,全ポリビニルアルコール複合材料の創製にも成功した。試料作製手法,成形条件を最適化することにより,この複合材料は引張強度として600MPa,ヤング率として17GPaの高い力学物性を示し,透明性も併せ持つ材料であることを見出した。この際,一次元での補強に留まらず,面内で等方的な高性能化を図ることにも成功した。これらの成果については複数回の学術発表を行い,目下学術論文を執筆中である。 以上,3年間の研究は成功裡に終了することができ,セルロース,ポリビニルアルコールという由来を全く異にする環境調和性高分子を用いて同種異形複合材料を創製し,いずれも力学的,熱的に高性能を有し,複合材料でありながら透明性を有する新規材料であることを見出した。
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