研究概要 |
高濃度(1,000〜2,000ppm)高温(>250℃)NOx・SOx・微粒子同時処理可能システムを構築することを目的として,吸着技術とプラズマ技術を組み合わせた乾式ディーゼルエンジン排ガス処理実験と,定置式ディーゼルエンジン及びボイラーを対象としたプラズマケミカルハイブリッド法による湿式NOx除去試験を行った。乾式ディーゼルエンジン排ガス処理実験では,排ガス中に含まれるNOxを一旦モレキュラーシープ13X(MS-13X)などの吸着剤に吸着させ,窒素雰囲気で排ガスの熱を利用して吸着剤を再生し,同時に脱着したNOを非熱プラズマ(NTP)によってN_2とO_2に還元・分解を行った。なお,ガス中の水分はNOの吸着に悪影響を及ぼすため,吸着塔には吸着剤の前段にシリカゲルを充てんした。吸着剤再生に用いる排ガスは吸着塔内の伝熱管内を通過するが,その際,シリカゲル側から入る場合,すなわちシリカゲルが高温側になる場合と,MS-13X側から入る場合(MS-13Xが高温側になる場合)を比較した。その結果,NOxの除去性能はシリカゲルを高温側にするほうがよいことがわかった。次に、MS-13Xに較べ水蒸気の影響が少ないMn系吸着材を用いて、ディーゼルエンジン排ガスと同等の水蒸気、酸素濃度の条件でNOxの熱脱離・再生の繰り返しを長時間行い,性能の変化を調べた。NOx脱離濃度は,120℃という比較的低い温度でも十分に熱脱着ができ,脱着濃度は脱着回数を重ねるにつれて濃度が上がり,およそ7回目の脱着時に濃度が定常(700ppm)に達することがわかった。PM除去に関しては通常のDPFを用いてNO_2(>250℃)やオゾン(常温)において効率よくDPF再生ができることを確認した。一方,湿式NOx除去試験では,オゾナイザーで生成したオゾンを排ガス中に吹き込みNOをNO_2に酸化させ,下流のスクラバでNO_2をN_2に還元処理を行った。その結果,NO濃度と同程度の濃度のオゾンを吹き込むことによってNO_2への酸化が効率よく行われることがわかった。また,スクラバについても,還元剤として用いるNa_2SO_3の量などをパラメータとして運転条件の最適化を行い、85%以上のNOx除去率をえることができた。
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