配分額 *注記 |
15,260千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 660千円)
2007年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2006年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2005年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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研究概要 |
本課題は,貴金属(NM;PtあるいはAu)を含む遷移金属(TM)規則合金における磁気異方性と軌道磁気モーメントとの関係を原子レベルで研究する事を目的とした.X線分光実験の高度化と系統的な測定を通して,ナノメータ・サイズの磁性体とバルクとの比較から,以下の成果が得られた. (A)実験技術的成果 X線吸収分光測定の高圧物性実験への拡張と,単結晶FePt_3規則合金に関する角度分解光電子分光測定に成功した.SPring-8でPt L_<2,3>-吸収端X線磁気円二色性(XMCD)を測定し,Ptの5d-電子の軌道成分を評価した.その結果,CoPt薄膜磁性体では,膜厚の減少に伴う軌道成分の減少を見出した.また,面内と面直配置によるXMCDの差分を利用して軌道成分の異方性も議論した.X線分光測定は,ナノ試料の電子状態による物性評価に有効である.サイズ効果の議論ではバルク試料との比較が重要であり,特に,試料作製とin-situ測定の連携が有効である. (B)学術的成果 規則合金におけるNM原子の役割では,規則構造に応じたNMの外殻5d-軌道と遷移金属(TM)の3d-軌道との混成効果が重要でり,特に,NMの5d-電子のスピン軌道相互作用の磁気特性に対する影響が注目される.垂直磁化膜における磁気異方性と軌道磁気モーメントとの関係では,磁気異方性定数の増大は軌道磁気モーメントの大きさには関係せず,合金薄膜の金相学的および結晶学的構造に由来すると考えられる.Au_4Mn規則合金に関する高圧下のX線分光実験から,磁気体積効果とスピンの揺らぎに関して,グリュナイゼン・パラメータの議論に新展開が期待される.
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