配分額 *注記 |
16,150千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 1,350千円)
2007年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2006年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
2005年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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研究概要 |
南西諸島の希少種アマミノクロウサギの生息状況把握と適切な保全計画を樹立するために,モニタリング手法の確立,遺伝学的手法を用いた集団の構造把握,及び個体数推定方法の確立を図り,また生息環境要因との関係を検討した.本種が夜行性で,夜間に巣穴から100-200mの範囲で活動し,林縁部や森林のギャップ部に出現して,主に採食と排糞活動を行なうことが明らかになった.糞粒カウント法を用いた主要流域単位9エリア(合計24河川)を対象とするモニタリングシステムを構築し,最近に増加傾向を示す地域として8エリアが認められた.採集した糞サンプルで12型のハプロタイプを検出したが,地域間で顕著な遺伝的差異は認められず,近年までの全島的な遺伝的交流の可能性が示唆された.遺伝的手法を用いた個体数推定では,クロウサギのマイクロサテライトプライマー9ペアを開発し,この9プライマーとヨーロッパアナウサギの4プライマーを加えて,個体識別の有効性が明らかになった.さらに,糞中からマイクロサテライトDNAをより精度高く得る方法を確立した。糞粒発見地点と生息環境要因との関係との検討として,特定の林道(距離15km)での糞粒発見地点と植生図などの既存のGISデータを用いて周辺環境の特徴を予備的に分析した例では,糞粒発見地点の周辺に照葉樹林が多いことが捉えられたが,植生図での特徴的な差を検出するまでには至らなかった.これらの成果から,アマミノクロウサギの生態や生息実態が明らかになり,今後の生息動向を把握するためのモニタリング手法の一部を確立したと考える.
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