研究課題/領域番号 |
17320028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学・美術史
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研究機関 | 大阪大学 (2007) 福井大学 (2005-2006) |
研究代表者 |
岡田 裕成 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (00243741)
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研究分担者 |
齋藤 晃 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 准教授 (20290926)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
6,650千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 450千円)
2007年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | ラテンアメリカ / アンデス / アマゾン / 植民地美術 / キリスト教美術 / ミッション / 南米 |
研究概要 |
本研究は、キリスト教美術を中心とするヨーロッパの図像表象文化が、南米アンデス高地およびアマゾン低地のスペイン植民地において先住民社会に移入され、受容されるなか、時に本来とは異なる意味や機能を獲得していったプロセスを、実地の作品調査に加えて、詳細な史料調査をおこなうことで、学際的な視点から明らかにしようとするものであった。その結果、次のような結論が得られた。 1)先住民への効果的なキリスト教布教を意図した集住制度(レドゥクシオン)のもとで、植民地支配者との交渉・接触の前面にたち、先住民でありながら支配文化と深く接した先住民首長層は、ヨーロッパの図像表象文化を積極的に受け入ると同時に、みずからの文脈で巧みに利用・流用し、みずからの社会的生存を図る資本とした。そのことは、ティティカカ湖畔カラブコの聖堂装飾への、先住民首長アグスティン・シニャニの深い関与の事例を通して象徴的に明らかになった。たほう、こうした事象の舞台となった郡部における聖堂建設と装飾が、教会当局の先住民教化の明確な意思のもとに進められたことも、新たな史料調査によって具体的に明らかにした。 2)低地のリオ・デ・ラ・プラタ地域において、宣教師たちが、聖像やきらびやかな聖堂装飾によって先住民を感覚的に感化し、信仰に導こうとした過程は、一般論としてはしばしば語られたところであるが、われわれはそれを支えた宣教師たちの意識と思考を史料的に裏付けるとともに、先住民側の反応についても具体的に明らかにした。そこでは、先住民たちが聖像の「におい」に聖性を看取するなど、彼らの側の宗教的感覚をキリスト教美術に投影していった過程が検証された。 こうした知見は、これまで、「混血」などの概念で、単純な文化融合の論理で語られがちであった南米植民地美術について、新たな理解をもたらすものとして大きな意義があると考える。
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