研究課題/領域番号 |
17330015
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
刑事法学
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
岩瀬 徹 上智大学, 法学研究科, 教授 (80384155)
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研究分担者 |
町野 朔 上智大学, 法学研究科, 教授 (60053691)
山本 輝之 名古屋大学, 大学院法学研究科, 教授 (00182634)
中谷 陽二 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (30164221)
柑本 美和 城西大学, 現代政策学部, 講師 (30365689)
東 雪見 成蹊大学, 法学部, 助教授 (80366921)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
2006年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2005年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
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キーワード | 児童虐待 / 刑事法学 / 社会福祉関係 / 社会医学 / 教育 |
研究概要 |
1 平成12年の児童虐待防止法及び児童福祉法一部改正後も、深刻な児童虐待事件が数多く発生した。それを受けて、平成16年、児童虐待防止法、児童福祉法は改正された。この法改正によって、児童虐待となる行為の範囲の拡大、学校等による早期発見、通告義務の範囲の拡大等が新たに規定されるに至った。しかし、それによって児童虐待をどれだけ予防し、それを発見し、それに十分に対応すること可能になるかについては、当時から多くの関係者から危惧が示されていた。このような現状を踏まえて、本研究では、児童虐待に対してより一層効果的な対応を可能にする法制度を構築するために必要なことを明らかにすることを目的とした。 2 研究方法としては、実際に児童保護に携わっている児童相談所、児童養護施設等関係者、医療関係者、弁護士、NPO関係者から協力を得て、現状を把握し、また、問題点を明らかにした。さらに、カリフォルニア州、韓国、フランスなどにおける児童虐待への対応を調査し、わが国のそれと比較することによって、よりよい児童虐待への法的介入のあり方を探った。 3 以上のような研究の結果得られた結論はおおむね以下のとおりである。 (1)医療・教育関係者等の通告義務違反の処罰については、虐待親が医療機関等へ子どもを連れて行くことを避けることになるのではないかなどの問題を考慮すると、子どもの保護を阻害する側面があり、導入すべきではない(むしろ、関係機関の連携の強化、重大危険ケースへの緊急対応を可能にする方が有効である)。 (2)家族の再統合は重要である。しかし、子どもの安全が最優先であることはいうまでもない。「再統合」のため子どもの安全がおろそかにされることがあってはならない。したがって、子どもを親元に帰す際の「リスク評価」が可能な限り適切になされることが不可欠である。子どもを(一時的にせよ)親元に戻した場合においては、必要に応じて継続的に安全を確認するなど、十分な配慮が必要である。そのためには、職員の増員、専門職の雇用が考慮されるべきである。 (3)子どもの福祉を考慮し、家族の再統合のため、刑事司法の介入を控えるべきケースも存在するであろう。しかし、その可能性ない場合において、虐待者の処罰を控える理由はない。
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