研究課題/領域番号 |
17330040
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
理論経済学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松井 彰彦 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30272165)
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研究分担者 |
長瀬 修 東京大学, 大学院・経済学研究科, 特任助教授 (60345139)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
13,930千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 1,230千円)
2007年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2006年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2005年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | 長期的関係 / 規範 / 発話 / 実験経済学 / 繰り返しゲーム / 独裁者ゲーム / 独占禁止法 / 2×2同時手番ゲーム / 満足化原理 / サーチ / 協力 / 寡占市場 / 経済学実験 / 談合 |
研究概要 |
In-Koo Choとの論文2編を国際学術誌に出版した。2編の論文のうち、Journal of Economic Theoryの論文"Learning aspiration in repeated games"は、繰り返しゲームにおいて、通常の最大化原理ではなく、満足化原理に従ってプレイヤーが行動した場合に生じる結果について分析したものである。個々のプレイヤーが協力している間は満足し、どちらかが非協力的な行動を採ると、裏切られたほうがよりよい戦略を求めてサーチを開始するため、協力が安定的な行動様式になりやすい。このため、通常のフォーク定理ではなく、しばしば協力がユニークな均衡として達成される点が重要な結果である。この研究は引き続き寡占市場に応用する形で進めており、戦略の数が無数にある、という複雑な状況であるにもかかわらず、「常に」協力が達成されるという結果が出てくることが確かめられた。 また、実験の成果に基づき執筆した論文「Voice Matters in a Dictator Game」(山森、加藤、川越との共著)がExperimental Economicsに受理された。本論文は、独裁者ゲームと呼ばれる状況について実験を行い、結果に人々の発話が影響するさまを分析したものである。独裁者ゲームは一定量の財産を独裁者がもう一人(市民)に幾ら分け与えるかを決定するゲームである。利他的な個人を仮定しても、これまでの理論では独裁者の分与額は、会話によって影響を受けないとされてきた。ところが、その状況を実験によって再現し、額の決定に先んじて市民にあたる人物に会話を許すと、発話によるアピールが独裁者に実際の正の支払いを促すことが確かめられた。すなわち、現実の行動においては、ゲーム理論における経済合理的な判断とは異なる、何らかの規範に依る決定が人々によってなされていることが示されたことになる。
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