研究概要 |
(1)非退化擬共形4元数$CR$幾何.非退化CR幾何の4元数アナロジーとして4n+3次元多様体上の非退化擬共形4元数CR構造-余次元3のコンタクト部分束とその上の4元数構造Q={I,J,K}を考え,フラットモデルの構成,曲率の構成また消滅に関する一意化について研究した.さらに,一般に非退化共形幾何,非退化CR幾何についても同様な考察を行った.(2)可解幾何をファイバーにもつ特異ファイバー空間の構造とそれらの間の可微分剛性.インフラ可解空間を典型ファイバーにもつファイバー空間を構成し,Injective Seifertファイバー空間を拡張していることを示した。また,このようなファイバー空間の全空間の間に,基本群の同型写像が与えられたとき,剛性を持つ底空間に対して全空間の間の微分同相写像が存在するという可微分剛性結果を得た.その応用として,非球形等質多様体に焦点をあて,「基本群が同型なコンパクト非球形空間は同相か」というBorel予想をコンパクト非球形等質空間の場合について肯定的に解いた.これまで群の変形空間,モジュライ空間はその群の表現の行き先のリー群Gとその共役のなかで計算されるが,C^∞微分固有作用の場合,実解析的作用の剛性と異なり可微分作用の多様性により無限次元の変形空間が問題になる.我々はこの場合を代数的自己同型群の性質と写像空間の無限次元加群を係数群にもつ群コホモロジーを計算することにより有限型の問題に帰着させる一つのアイデアを発見した.(3)2006年.幕零多様体の幾何的コボルデイズム論.代数的コボルデイズム論を幾何学的立場から考え,ホロノミー群が自明でない3次元冪例多様体は1個のカスプをもつような余有限体積のノンコンパクト代数的複素双曲多様体の境界にはならないことを示した,(4)擬リーマン多様体の極限集合n+1-次元擬双曲空間H^<n,1>(符号(n,1)の定負曲率ローレンツ(擬リーマン多様体)とその上に作用する等長群Isom(H^<n,1>)=PO(n,2)は自然にその境界S^<n-1,1>=∂H^<n,1>に実解析的に作用する.このとき(PO(n,2),S^<n-1,1>)はn次元共形平坦ローレンツ幾何学とよばれる.不連続群Γ⊂PO(n,2)はS^<n-1,1>に作用するから極限集合Λ(Γ)ができる.このとき我々は(PO(n,2),H^<n,1>)から極限集合L(Γ)を構成し,Λ(Γ)と比較した.(極小性)G⊂PO(n,2)を群とし,ΛをG-不変な無限閉集合とするとき,L(G)⊂L(G)が成り立つことを証明した.(一意性)Gを離散集合とするときL(G)=Λ(G)がある条件のもとで成り立つことを示した.
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