研究分担者 |
羽部 朝男 北海道大学, 理学部, 准教授 (90180926)
藤沢 健太 山口大学, 理学部, 准教授 (70311181)
小林 秀行 自然科学研究機構, 国立天文台, 教授 (20211906)
川口 則行 自然科学研究機構, 国立天文台, 教授 (90214618)
今井 裕 鹿児島大学, 理学部, 准教授 (70374155)
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配分額 *注記 |
13,660千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 1,260千円)
2007年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2006年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2005年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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研究概要 |
本研究は、大学が便用可能なVERA,北大11m鏡、国土地理院32m鏡、情報通信研34m鏡、岐阜大11m鏡、山口32m鏡、臼田64m鏡、鹿児島34m鏡、中国上海25m鏡で基線長100kmから3000kmのVLBI網を構築し、我が国が先行している光ファイバーを利用した広帯域VLBI観測による高感度化、鹿児島大学1m光赤外線望遠鏡によるミラ型変光星の観測を進め、理論グループとの協力により銀河中心領域の全体像の解明を目指すプロジェクトである。昨年VEMによる星のパララックス(距離)を測る計測が成功し,昨年7月11日国立天文台で記者会見が行われた.既に5編の論文が出版され特集号も予定されている.銀河系のダークマターについて興味深い結果が得られている.以下このプロジェクトの最終年度の結果を列記する。 1.高感度VLBIを実現するため光結合VLBI実験を行い、観測に成功した。これを用いて情報通信機構(NICT)鹿島34m鏡と岐阜大学11m鏡との間で、銀河中心にある大質量ブラックホール天体SgrAのフレア現象のモニター観測を開始した、ブラックホール周辺の降着円盤の物理過程の解明を目指す。 2.鹿児島6m電波望遠鏡に鹿児島大学とNICTが共同開発したデジタル分光計を搭載し、銀河中心領域のアンモニア分子の回転遷移(J,K)=(1,1),(2,2),(3,3)の同時観測を行い、マップが完成した。(1,1)(2,2)比より銀河中心領域の広範囲の分子雲でアンモニアガスの現在の温度は高く、これまで得られたダストの温度よりはるかに高いことが分かった。また、(2,2)(3,3)比よりアンモニアのオルソーパラ比が求まり、これより求められたアンモニア分子が生成されたときの温度は6-19Kで現在のダスト温度とほぼ等しいことが分かった。このことはアンモニア分子がダストの表面からショック加熱で放出されたものと考えられる。 3.VERAで精密なパララックス測定が成功し、S269の距離が17250光年であり、年周視差で求めた最長距離であると昨年7月11日に記者会見をおこなった。VERAはその後もOrionKL,S Crtなど多くの天体の距離計測に成功し論文が出版されている。 4.鹿児島大学とMCTは鹿島34m鏡、北大グループは11m鏡を用いて銀河系の分子雲のアンモニアサーベイを進めており、一部の結果は論文として準備中である。 5.晩期型星までの距離指標としてミラ型変光星の周期光度関係の導出プロジェクトを進めており、VERAでミラ型星R UMa,T Lepまでの距離を求めた。また鹿児島大学1m鏡でSioメーザー源であるミラ型変光星の近赤外線モニター観測を行い、周期光度関係を用いて距離を求め、銀河系での空間分布を求めた。今後個数を増やす。 6.VERAにより星の銀河系の回転速度を求め、銀河系の回転曲線よりダークマターの分布など銀河系の構造を求めるプロジェクトも進行中。
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