配分額 *注記 |
16,400千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 900千円)
2007年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2006年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
2005年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
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研究概要 |
本研究は,種々の方法により強相関電子系のひとつである有機導体に対して本質的な不均一電子状態を発現させ,その発現過程,発現形態を,われわれが開発した走査型局所赤外反射イメージング手法などにより実空間可視化するなどして明らかにすることである.本研究期間中に達成された研究成果を以下のように列挙する. 1.モット金属絶縁体転移近傍での電子相分離機構の解明:バンド幅制御型モット系有機導体に対して,精密な分子部分置換によるバンド幅制御を行い,モット転移極近傍における金属-モット絶縁体のミクロ相分離発現の詳細を,放射光赤外光を用いた走査型局所赤外反射スペクトル測定により実空間イメージングとして観測に成功し,相分離形成,形態機構を明らかにした. 2.ミクロ電子相分離とマクロ輸送現象の相関の解明:ミクロ相分離の発現,形態変化と電気抵抗などの巨大なマクロ輸送現象発現の相関を明らかにした. 3.電荷秩序状態の走査型プローブ顕微鏡による実空間可視化:STM測定により有機系電荷秩序物質の分子レベル実空間電荷秩序パターン観測に成功した. 4.不純物,分子置換による準粒子散乱と超伝導の相関の解明:人為的に導入,制御した不純物による準粒子散乱と超伝導抑制の相関を明らかにし,有機超伝導体の異方的対称性を検証した. 5.モット金属絶縁体転移と超伝導の競合に対する強磁場効果の解明:モット転移と超伝導の競合関係について精密バンド幅制御と強磁場印加により,相転移に対する磁場効果を明らかにし,モット絶縁体と超伝導状態に競合関係を明らかにした. 6.エックス線照射によるモット絶縁体へのキャリアドープ機構の発見:モット絶縁体に対してエックス線を照射することにより,分子欠陥を生成した結果,局所的な電荷移動のバランスの崩れから実効的なキャリアドープがなされることを発見した.
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