配分額 *注記 |
12,770千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 870千円)
2007年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2006年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
2005年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,平均場型の疎結合スピングラス模型に対して,i)レプリカ対称解の局所的不安定化を意味するde Almeida Thouless(AT)条件の一般的な条件を与えること,また,ii)その結果得られるレプリカ非対称解に関する知見を得ることである.確率伝搬法(BP),ベーテ近似ならびにマルコフ連鎖モンテカルロ法に基づく解析により,以下の結果を得た.これらの結果は,スピングラス問題,また,情報科学の問題に現れるレプリカ対称性の破れを解析する際に有用な知見となることが期待される. 1. BPに基づきスピングラス帯磁率を評価することで,疎結合模型に対するAT条件を評価する手法を与えた.また,AT条件が大偏差統計によって定まることを指摘し,大偏差を特徴付ける指数を数値的に求める方法を与えた. 2. ベーテ近似解を効率的に探索するアルゴリズムを開発した.更にこのアルゴリズムを用いてヘシアン解析を行い磁場がそれほど大きくない領域では比較的小さな系に対しても疎結合モデルに対して予想されるスケーリング関係が成立することを示唆する結果を得た. 3. 上記の結果とMCMC法による直接実験との比較を行った.AT条件の臨界点を数値的に評価する際の指標として,帯磁率行列およびスピングラス帯磁率行列の第1固有値Λ, Λ_<SG>,ならびにスピングラス帯磁率χ_<SG>のそれぞれを用いた場合の評価法の特徴を明らかにした. 4. レプリカ法に基づき絶対零度極限でのレプリカ対称性の破れの構造を調べた.その結果,全結合系とは異なり,基底状態が1段階レプリカ非対称解で記述されることを示す結果を得た.
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