配分額 *注記 |
7,720千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 420千円)
2007年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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研究概要 |
伊豆大島及び伊豆半島沖群発地震活動について,噴火準備期にある火山のマグマ移動及び蓄積現象を,地震活動,地殻変動の観測データを用いて解明した. 伊豆半島東方沖群発地震活動の系統的な解析から,この地域では広域応力場からマグマはダイク状に蓄積されるが,蓄積される深度が大きく2つのグループに分かれることが判った.更に,深い場所に蓄積されるマグマ内の過剰圧が,浅い場合に比べ有意に高いことが判った.このことより,マグマ上昇過程をつかさどるのは浮力であり,この地域では,ほぼ同じ場所から上昇してくるマグマでも,わずかな密度差があり,そのため浮力中立深度が異なることが明らかになった. 伊豆大島火山では,山体の膨張に同期して活動度の高まるカルデラ内に発生する微小地震を解析し,この地震が前回の1986年噴火の際の割れ目噴火によって作られた応力場,山頂火道の応力場及び伊豆大島周辺の広域応力場により形成されたと考えられる2つの斜交したダイクの貫入によるものであることを明らかにした.これにより,地震活動,発震機構,地殻変動を合理的に説明できる.伊豆大島では,深部からのマグマの上昇により,カルデラ北部地下の山頂火道に近いダイクが最初に開口し,その後その北側のダイクが開口するマグマの移動があることが判った. これまで,噴火準備期のマグマ移動については,マグマの上昇と蓄積と言う単純な描像しか得られていなかったが,2つの活動の解析から同じ場所でも蓄積深度がわずかに異なる現象や,深部から上昇してきたマグマが,火山地域の不均質構造と広域応力場により水平方向に移動する現象を,これまでにない解像度で得られ,今後,噴火準備過程の全容を解明する大きな足がかりが得られた.
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