配分額 *注記 |
16,180千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 780千円)
2007年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2006年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
2005年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
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研究概要 |
日本東方における海面水温分布の特徴のひとつに黒潮続流に沿う水温前線を挙げることができる.この前線付近では季節を通じて水温傾度が5℃/200km程度であり,水温が空間的に大きく変化する.このような黒潮続流水温前線を横切るGPSラジオゾンデ観測を2005年7月にスクリップス海洋研究所のR/V Roger RevelleのKESS2005航海と2006年の1月の東京大学海洋研究所研究船白鳳丸KH-06-01次航海にて行った. 初夏に黒潮続流海域を覆う大気特性は総観規模で大きく変化するものの,黒潮続流フロント近傍における海洋の中規模渦を伴った水温場はそれほど敏感に応答せず,数週間ほぼ同じ水温分布を維持していた.黒潮続流フロントを横断する鉛直断面におけるラジオゾンデ観測とシーロメータ観測から,海面近傍の温度差の変化が海洋性大気境界層の鉛直構造を変化させ,高温湿潤の大気が覆う場合には積雲から霧を含む層雲へのレジームシフト,低温湿潤の大気が覆う場合は明瞭な雲底を持つ層雲から隙間の多い薄い層雲へのレジームシフトが生じることを明らかにした. 一方,冬季における海面付近の静的安定度は常に不安定である.このため,仮温位の鉛直勾配の小さい混合層が大気下層に形成され,その上端に逆転層が見られた,観測期間中の混合層高度と海面熱フラックスの変動は5-12時間のラグでよく一致していて,混合層の上端と雲底高度は概ね一致していた.日本南岸を通過する低気圧の西側で南下する寒冷な空気塊が黒潮続流上に到達したとき,暖かい海面より800Wm^<-2>を超える熱供給を受けて,混合層高度が上昇し,その上端に層雲や層積雲が形成されていた. これらの観測事実は総観規模で変動する大気が黒潮続流を覆う場合であっても,海洋性大気境界層の特性は水温フロントの影響を受けて大きく変質することを示唆している.
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